裁判や報告集会、署名活動等無償化適用の為の様々な活動内容をお知らせします。

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活動報告



2021年

7月17日

■ 『高校無償化裁判・最高裁上告棄却に抗議する福岡県民集会』

  最高裁の不当な上告棄却に抗議する県民集会が催されました。

  イオブログ
  集会アピール

  

2021年

5月〜6月

■ 無償化裁判がもたらしたもの − 朝鮮新報連載記事

  九州弁護団の活動内容が朝鮮新報に掲載されました。
  明日につなげる― 無償化裁判がもたらしたもの―
  明日につなげる― 無償化裁判がもたらしたもの― 九州弁護団(上)
  明日につなげる― 無償化裁判がもたらしたもの― 九州弁護団(中)
  明日につなげる― 無償化裁判がもたらしたもの― 九州弁護団(下)

  

2021年

2月13日

■ 高校無償化即時適用実現全国統一行動に連帯する福岡県民集会

  国の不正を糾す事なく、子どもたちの権利を奪う不当判決が言い渡された事を断固糾弾します。

  朝鮮新報記事
  ※朝鮮新報の会員の方のみ閲覧できます。

  最高裁へ上告し、裁判闘争を継続します。


2020年

10月30日

■ 第5回控訴審(判決言渡し)

  国の不正を糾す事なく、子どもたちの権利を奪う不当判決が言い渡されました。

  イオニュース@
  イオニュースA
  学園、連絡協議会声明文
  イオニュースに掲載されている記事 ※イオ編集部の許可を得てURLを掲載しています。

  最高裁へ上告するため力を合わせ準備中です。


2020年

7月10日

■ 第4回控訴審

  4月17日に予定されていた控訴審がコロナウイルスの感染拡大防止のため延期されて行われました。

  https://www.io-web.net/ioblog/2020/07/11/81979/
  イオブログに掲載されている記事 ※イオ編集部の許可を得てURLを掲載しています。

  次回裁判は、10月30日(金)に開催され、判決が言い渡される予定です。


2020年

2月14日

■ 第3回控訴審

  https://www.io-web.net/ioblog/2020/02/15/80482/
  イオブログに掲載されている記事 ※イオ編集部の許可を得てURLを掲載しています。

■ 朝鮮高校無償化即時適用実現全国一斉行動に連帯する福岡県民集会

  https://www.io-web.net/ioblog/2020/02/15/80512/
  イオブログに掲載されている記事 ※イオ編集部の許可を得てURLを掲載しています。

  次回裁判は、4月17日(金)に開催される予定です。


2019年

12月20日

■ 第2回控訴審

  第2回の控訴審が、12月20日(金)13時30分から、福岡市中央区六本松の福岡高等裁判所1階の101号室で開催されました。会場には、第1回と同じように学校関係者、学生、卒業生、支援者、そして、韓国からの2つの支援団体「朝鮮学校と共にする市民の会・春」と、「蔚山キョレハナ」の皆さんを含めて約200人が集まり熱気が溢れました。100人弱の傍聴券取得者は、早速法廷に入り、審理を見つめました。

 冒頭、体調を崩して休養中の服部弘昭弁護士から弁護団長を受け継いだ、後藤富和弁護士が意見陳述を行いました。「この訴訟の意義について意見を述べます」と語り始めました。

 一つは、2002年の日本人拉致事件が明らかになった後の、福岡をはじめ全国各地で朝鮮学校に通う子ども達に対する嫌がらせ、特に、チマチョゴリ切り裂き事件が頻発したことについてでした。そこで、「在日コリアンの子ども達に対する嫌がらせを許さない若手弁護士の会」を結成したこと、そして、朝鮮学校に通い、聞き取りをしたこと、そこでは、先生が子ども達を温かく包み、上級生が下級生の面倒を見たりする姿に、愛にあふれた学校だと実感したことなどを語りました。

 二つ目は、後藤弁護士が小学校のPTAの委員をしていた時に、朝鮮学校の授業参観をしたこと、授業は朝鮮語が使われていること以外に日本の学校との違いはなく、逆に、生徒一人ひとりの個性を伸ばす教育がなされていたこと、この学校の自由な空気は実際に朝鮮学校に行くことで感じることができますと強く主張しました。

 三つ目は、福岡市内の中学校で使用され、全国でも6割の中学校で採用されている『公民』の教科書を提示して、当時、福岡朝鮮初中級学校に通っていた朱星一さんの作文が掲載されていることを紹介しました。「民族や文化が違っても日本に生まれた人間同士、なぜ僕たち在日コリアンが未だ偏見の中で暮らさなければならないのか」「この日本が誰にとっても住み良い国になるように、力を合わせて行こうではありませんか」と。そして、この教科書は「共生社会を実現するうえで『正しさ』とは何かを話し合いましょう」と投げかけていることを説明しました。その外にも「在日韓国・朝鮮人への差別の撤廃、差別解消のための取り組みを説明しましょう」との記述もあることを紹介し、「この教科書で学んだ子ども達に、高校無償化から朝鮮学校だけが除外されていることをどう説明すればよいのでしょうか」と、訴えました。

 四つ目は、全国高校ラグビー大会出場のことや、JRの学割定期券を認めさせたこと、国立大学への受験資格を認めさせたことなどを例に挙げて、「自らの力で権利を勝ち取ってきた在日コリアン」「当たり前の権利です」「だから、彼らが負ける訳はありません。彼らの要求は必ず実現します」と力強く訴えました。五つ目は、「国連子どもの権利委員会は、日本政府に対し、朝鮮学校の無償化除外について何度も厳しい勧告を出しています」「にもかかわらず、日本政府だけが『朝鮮学校が反社会的な団体と繋がっているから無償化制度を適用できない』と差別を正当化しようとしている」とも述べました。そして、最近の桜を見る会で日本政府は「反社会的な勢力を定義することは困難である」と、閣議決定を行いましたが、朝鮮学校には反社会的勢力と言って差別をして、逆に政府が追求されると反社会的勢力の定義は定まっていないと言い逃れをするその支離滅裂な態度を「恥ずかしくて仕方がない」と語りました。

 その上で、「この裁判で問われているのは私達日本人、とりわけ日本の司法の健全性であり、在日コリアンの方々が示した不断の努力(憲法12条)に対して司法が彼らと同じように悩み、もがき、努力しているかと」と訴えました。そして、最後に、まとめとして「高校無償化は必ず実現します。福岡の裁判所には人権保障の砦としての役割を果たしていただきたい。そのためにも、関係者の証言に耳を傾け、朝鮮学校に行って、あの自由で温かな空気に触れていただきたい」と結びました。

 その後、今後の予定について協議に入りましたが、後藤弁護士の切々と訴えた陳述が届かなかったのか、3人の裁判官は、何もなかったように淡々と協議を進めて、いつでも審理を打ち切って結審したいという態度が見え見えでした。そこで、弁護団は、現在作成を依頼している岡山大学教授の意見書提出などを主張しながら、審理続行を要求し、裁判官の「目論み」を覆させ、第3回控訴審の日程を決定させた上で、第2回控訴審を終了しました。

 裁判終了後、会場を弁護士会館に移して報告会が行われました。最初に金敏寛弁護団事務局長の挨拶、進行で始まりました。経過報告の中で、@3人の証人尋問(下村元文科大臣、前川元事務次官、尹慶龍北九州初級学校長)、A検証の一環の朝鮮学校訪問、について、却下の報告が裁判所からあった。その理由を尋ねたが、「必要性がない」「これ以上は言えない」などと、審理打ち切り、結審の態度が垣間見えたので、次回の第3回控訴審は、岡山大学の堀口先生の意見陳述提出を予定して、簡単には結審をさせない決意で頑張って行きたいと述べられました。

 続けて、後藤弁護団長から、「今日で結審という裁判官の『目論み』を皆さんの傍聴の雰囲気で覆させたのです」という発言があり、清田美喜弁護士は「言葉を伝えていくことの大切さ」「皆さんが集まることが力になります」などと語られました。

 そして、韓国から支援に来た「朝鮮学校と共にする市民の会・春」の代表は、「アメリカの先住民は日照りが続いたとき雨乞いしたら必ず雨が降る。なぜか。それは、諦めずに、雨が降るまで雨乞いをするからです。私たちも勝利するまで共に頑張って行きましょう」と力強くエールを送ってくれました。また、もう一つの韓国からの団体「蔚山キョレハナ」の代表は、「2回目の訪問です。我々の先祖は植民地時代から差別を受けたが、今世界は差別をなくす動きなのに、未だに日本は我々の子ども達に差別をしている。差別のない世界で平等社会作りたい。在日朝鮮人も同じ税金を払う、同じ人間、構成員として共に生きていきたい。平和な社会を求めて政府と裁判所に声を伝えたい。朝鮮学校差別反対を叫んでいきたい」と強く訴えられ、報告会の熱気は最高潮に達し、報告会を終えて会場を後にしました。

 次回裁判は、来年2月14日(金)に開催される予定です。


2019年

11月16日

■ 『幼保無償化除外に抗議する県民集会』
 朝鮮幼稚園外しにNO!すべての幼児に教育・保育の権利を!

 『幼保無償化除外に抗議する県民集会』(主催=同実行委員会)が11月16日(土)、九州朝鮮中高級学校体育館で行われ、福岡県、山口県在住の朝鮮学校を支援する約300名の方々が朝鮮学校・幼稚園の保護者らと一緒に参加されました。

 集会では『11・2全国集会』(東京)の映像が上映された後、内岡貞雄さん(朝鮮学校を支援する山口県ネットワーク)が 基調報告を行いました。内岡さんは、幼保無償化制度は、「すべての子どもたちが健やかに成長するよう支援する」という基本理念からかけ離れ、不公平さを抱えたままの制度であるとした上で、理不尽にも朝鮮幼稚園は、「各種学校は除外」という刃によって無償化の対象からもはずされた。各種学校外しは明らかに意図的な排除であり、その本質は、民族教育への差別、朝鮮学校排除の制度的差別だと訴えました。
 その上で、88校の各種学校を対象外としたのは、40校を数える朝鮮学校への制度的差別を覆い隠すための狡猾な手段であり、このような制度的差別をしていることは共生社会の流れに逆行するものだとしました。報告では最後に、粘り強く闘いを続けていくこと、除外された各種学校と連携し広く世論に訴えいくこと、朝鮮幼稚園に無償化を勝ち取るための知恵を出し合おう、これからも共に闘っていくことを呼び掛けました。

 続いて、福岡・山口県下の朝鮮幼稚園での園児たちの生活を記録したビデオが紹介された後、北九州朝鮮初級学校附属幼稚班 オモニ会会長、福岡朝鮮初級学校附属幼稚班の先生が各々発言されました。
 二人は、幼保無償化制度からウリユチウォン(私たちの幼稚園)を除外した日本政府の暴挙を糾弾しながら最後まで闘っていく事を呼び掛けました。

 福岡県日朝友好協会会長 北原守さん、 福岡県議会議員 佐々木允さん、北九州市議会議員 西田一さん、九州無償化弁護団 鄭文哲さんが連帯の挨拶をされ、北九州市議会議員 村上聡子さんが連帯メッセージを寄せてくれました。5名の方々は、在日同胞の皆さんと手を取り合って一緒に闘っていくことを決意表明されました。

集会では、朝鮮海外同胞援護委員会からのメッセージが朗読され、集会アピールが採択さ れました。アピールでは過去の歴史問題を直視し、在日同胞社会の民族性を守り、子どもたちの笑顔を守っていかなくてはならないとした上で、日本当局による度重なる民族差別と人権侵害に断固抗議して全国の支援者たちと連帯して朝鮮幼稚園の無償化を勝ち取ることが強調されました。



2019年

10月2日

■ 第1回控訴審

 10月2日(水)、福岡高等裁判所で無償化裁判の控訴審が行われました。

 ここ数ヶ月の民族教育を取りまく状況を見ると、東京と大阪の無償化裁判において最高裁判所が上告を棄却し、原告敗訴が確定。そればかりか日本政府は、10月からスタートした幼保無償化の適用対象から朝鮮幼稚園を除外するという最悪の環境の中、何としても九州での控訴審で勝利をもぎ取るとの熱い思いから、福岡県内はもとより、山口、韓国から200名を超す方々が駆けつけました。

 裁判所前での入廷行動に続き、午後1時30分から始まった裁判では、原告(控訴人)より、控訴状、控訴理由書が陳述され、被控訴人(国)から答弁書が陳述された後、双方から提出された書証が確認されました。
 また、控訴人より、証拠申出書、検証申出書が提出されました。

 裁判では、被控訴人(国)から反対意見はあったものの、原告本人の意見陳述が行われました。

 朝鮮高校を卒業し、日本大学に進学した原告女性は、高校まで通った朝鮮学校では、民族名で名乗り、呼ばれる事が当たり前だった事が、大学では、民族名を聞き返され、「いつ日本に来たの?」と聞かれることもあった事。そのたびに、在日朝鮮人という存在がどういうものなのかを説明しなければならない現実は、自分が周りの子達と違う存在なんだと実感させられた事、周りで「北朝鮮」の話がされる度、自分の存在を否定されているような気がしたとした上で、「朝鮮学校に通っている間、私という存在はいろんな人、そして朝鮮学校という場に守られていたのだなと痛感しました。」と率直に話しました。

 続けて原告は、歴史的に見ても、在日朝鮮人が民族教育を受けることは、当たり前の話であるはずなのに今の日本ではそれが出来ない。自分の同級生も金銭的な問題から、高校からは無償化になるからと日本学校に通った子がいる。すべての朝鮮人が当たり前に民族教育を受け、自分のルーツを学ぶことができ、朝鮮人であることを隠すことなく生きられたらどれだけいいだろうかと涙ながらに訴えました。

 そして、この裁判に関わるみなさんに在日朝鮮人にしっかりと向き合ってほしい、民族教育の現場をしっかりと見てほしい、ぜひ、朝鮮学校で民族教育がどのように行われているのかを直接見に来てほしいと裁判官に伝えました。

 最後に原告は、「私が今朝鮮人として生きられるのは、民族教育のおかげです。朝鮮人として生まれ、民族教育を受ける資格のあるすべての子どもたちのためにも、高校『無償化』制度を私たち朝鮮人にも適用してください。

 これ以上、私たちを差別しないでください。すべての子どもたちの中に私たち朝鮮人も含んでください。」と、結びました。

 続いて、朴憲浩弁護士より控訴理由書の要約が陳述されました。

 裁判後、裁判官と弁護団による進行協議が行われ、次回裁判は、12月20日(金)13時30分から行われる事となりました。

■ 報告集会

  報告集会では、金敏寛弁護団事務局長より、双方より提出された書面の説明があり、弁護団として、3名の証人尋問と裁判所の学校来校を要求した事が報告され、次回裁判までの提出書類に対して説明がありました。

 朴憲浩弁護士より、裁判で行った意見陳述に対して報告がありました。
 朴弁護士は、一審判決の問題点を指摘しながら、判決の根拠として裁判所(裁判官)が羅列した内容が不当かつ不合理である事を説明しました。
 また、最高裁の上告棄却という決定があったが、無償化法の統一解釈が積極的に示されたとまでは言えないのだから、高裁で正しい解釈を示せる余地もあるとして、九州での裁判勝利の為、最後まで闘い抜いていこうと訴えました。

 続いて、新しく弁護団に加わった、白石覚弁護士、鄭文哲弁護士が紹介され、両弁護士より、理解しがたい一審判決であり、裁判勝利の為に最後まで闘う事、弁護士として書面作成に全力で取り組むとの意思表明がありました。

 集会では、福岡ふれあい納涼祭実行委員会より、無償化実現・福岡連絡協議会へ裁判支援金が手渡されました。

 韓国からの支援団体の連帯挨拶の後、朝鮮学校を応援する各種行事の説明が各主催団体よりありました。



2019年

9月14日

■ 朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会第3回総会
  「3・14不当判決糾弾、福岡高裁勝利」総決起集会

 9月14日(土)、福岡市天神の都久志会館で、朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会主催による標記の総会・総決起集会が開催され、180名を超える方々が参加されました。

 総会では、瑞木実事務局長から、2016年6月から今年9月までの活動及び財政報告がなされ、今後の取り組みが提案、承認されました。特に、高裁勝利に向けた広報活動の一環として、毎月第2木曜日に「木曜行動」と銘打って天神パルコ前で街宣活動を行う事が確認されました。(7、8月は実施済み)

 総決起集会では、中村元氣共同代表が主催者挨拶で、「安倍政権による朝鮮学校への弾圧は、地方自治体への補助金停止の圧力、朝鮮高校の高校無償化適用除外、今年10月から始まる幼児教育・保育無償化から朝鮮幼稚園を排除する動きへとますます悪質なものとなっている。今、私たちが闘っている無償化裁判闘争はすべて日本人の問題であり、日本の教育に関わる重要な闘いである。勝利に向けて最後まで闘う。」と訴えました。

 続いて、3名の代表が決意表明を行いました。)

 生徒代表(高2)は、「幼いころから民族教育で学び、高校に入学後、高校無償化問題と向き合うことになった。先輩たちの背中を追うように、私も街頭宣伝やビラ配りに参加した。第一審の判決の日。緊張の中、裁判所へと向かった。『不当判決』と書かれた垂れ幕を見たとき、私は、怒りと悔しさから震えが止まらなかった。なぜ、私たちだけが差別をされるか。私たちが、何をしたというのか。朝鮮人としての誇りを持ち、堂々と生きることは間違っているのか。先日、上告を退ける最高裁の決定が言い渡された。国を相手に闘う事の難しさを改めて知ることとなった。しかし、この結果にひるんでいては絶対に勝利は勝ち取れない。まだ、闘いは終わっていない。同胞社会の未来のために、そして勝利するその日まで、手と手を取り合って最後まで共に闘い続けよう。私は、朝鮮人として誇りを持ち、堂々と学び闘い続ける。」と力をこめました。

 保護者を代表して発言した、九州中高オモニ会の李慶愛会長は「3.14の判決は、裁判の流れから、もしかしたら勝てるのかもと甘い考えを持っていた。しかしその期待は裏切られた。泣き叫ぶ生徒たち、大声で抗議する大学生・同胞・支援者たち。私も怒りが込み上げてきた。最高裁が東京と大阪の上告を棄却した。日本政府は、私たちに税金(義務)だけ払わせて、権利を無視している。これ以上私たちから権利を奪わないでほしい。みんな諦めずに闘っている。踏みにじられても立ち上がってきた同胞先達の思いをつないで闘っていきたいと思う。」と語りました。

 最後に弁護団事務局長の金敏寛弁護士から、「第一審では、朝鮮学校の指定根拠となる『ハ号』の削除は、政府の政治的目的で行われたと指摘してきた。裁判所はそのことに目を向けずに判決を下した。裁判は第2段階に入った。次の3点を中心にして闘いを進める。@朝鮮学校は「不当な支配」を受けていないという事実を明らかにしていく。A再度、裁判官に朝鮮学校の真の姿を知ってもらうため検証申出を行う。B真実を明らかにするため、当該者の証人尋問を行う。(前川喜平元文科省事務次官、下村博文元文科省大臣、学校関係者) この裁判を通じて、『朝鮮学校で民族教育を学んでもいいんだ』という事を日本社会の中に認めさせていきたい。」

 続いて、福岡県日朝友好協会、福岡県議団からの連帯メッセージに続き、福岡県オモニ会連絡会の代表が「幼児教育・保育無償化から、朝鮮幼稚園が除外されている。なぜ幼い子どもたちまでも差別をするのか。『日本の幼稚園に行けばいいではないか』という言う人がいる。しかし、それは民族教育否定の言い分であり、おかしいと思う。朝鮮人としての民族的アイデンティティは、小さいときからのコミュニティの中で育っていくものだ。政府が権力でそれをつぶそうとしている。皆さんと協力して権利獲得のために最後まで闘う。」と力強く訴えました。

 最後に集会アピールを採択し、決起集会を閉会しました。

 集会終了後、天神パルコ前で無償化裁判の状況を訴える街頭宣伝行動を行い、朝鮮学校に対する理解を呼び掛けました。


2019年

3月14日

■ 判決言い渡し

 2019年3月14日(木)、福岡地裁小倉支部には、九州中高の中3から高3生徒・北九州初級の初6児童と教職員ほか、県内はもちろん日本各地や韓国からも同胞・支援者が集まり、たった37の傍聴券を求めて約320人が列をなしました。

 司法の公正な裁きを期待した参加者達は、国の違法性に目を向けず原告の主張を退けた不当判決に対して怒りに身を震わせました。

 2013年12月19日に提訴し、5年3か月の長きにわたって行われた裁判が、不当判決の言い渡しという最悪の結果を迎えた事に対して言葉がありません。

 事実と証拠に基づいて判断を下すべき裁判官の職責を放棄した判決にこみ上げる怒りを抑える事ができません

 「私たちは最後まで闘う!」―。判決当日、生徒たちはもうすでに次の闘いへの決意を叫んでいました。5年以上に渡って訴えてきたことを無視され再び深く傷つけられた当事者である子どもたちが、なお強くいなければならない現状、それを強いる日本社会のむごさを感じると共に、正しい共生社会を築くためにも必ずこの裁判で勝訴することが必要だとの念を強くしました。

 判決は当HPに、裁判詳細はミレ通信をご参照下さい。



2018年

9月20日

■ 第20回口頭弁論報告(日刊イオブログから転載

 9月20日、九州無償化裁判の第20回口頭弁論が開かれ、県内同胞、九州朝鮮中高級学校の生徒、日本市民、また釜山からの支援者などが福岡地裁小倉支部に駆けつけた。弁論が行われる203号法廷は定員50人弱ほどの小さな部屋。少ない傍聴券を求めて200人近くが列をなした。
 今回は原告側が準備書面27、28(最終準備書面)を、被告側も最後の書面を提出。法廷ではまず、無償化弁護団の服部弘昭弁護団長が準備書面の概要について意見陳述した。

 服部弁護団長は、朝鮮高校が無償化法の規程13条(学校運営の適正性)に適合すると認めるに至らないと判断したのは下村文部科学大臣であり、本来それを客観的に判断するはずだった審査会の結論を経ていないと指摘。
 ―審査会では、不指定の結論は出ていない。そうすると、本件不指定処分は、本件規程13条の適合・不適合に関係なく、規則ハ号削除によりなされたことは明らかである―(準備書面28より)
 そして、規則ハ号は下村文科大臣の政治外交的な発言を受けたあとに削除されたとしつつ、「これは無償化法が想定していない他事考慮であり、被告の裁量を逸脱・濫用したものであるのは明らかである。したがって、本件不指定処分は違法である」と強調した。

 服部弁護団長は他にも、朝鮮高校を不指定処分としたことは国際人権A規約(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約。13条では教育の権利などについて定められている)や人種差別撤廃条約、児童権利条約といった国際人権諸条約だけでなく日本国憲法にも違反するとのべた。
 また最後に、生徒たちが民族教育の権利に対する侵害や精神的苦痛を受けたことはもちろん、経済的不利益も受けていることを改めて訴えた。
 ―高校無償化は、公立学校の場合は文字通り無償化であるが、それ以外の学校については、「就学支援金」として学生一人あたり、9,900円/月が学校に支給されるという制度である。すなわち、原告らが朝鮮学校に最大3年間進学していることに照らせば、原告らは就学支援金を最大3年間受け取ることができない立場にあったのだから、朝鮮学校以外の高校生に比べて、最大356,400円(9,900円×12か月×3年間)の経済的負担を負っていることになる。さらに、兄弟がいればその不利益が大きくなることは言うまでもない―(準備書面28より)
 準備書面27では、「原告らの家庭では3人兄弟や4人兄弟全員が朝鮮学校に進学している場合もある。(中略)きわめて重い経済的負担を負っていることになる」と加えられている。

 続いて、金敏寛弁護士が訴訟の経緯を振り返り、現在の自身の思いも含めて意見陳述した。
 ―下村文部科学大臣は、堂々と、「拉致問題」、「朝鮮総聯」、「朝鮮共和国」などの政治外交的理由に基づき、日本国民の理解が得られないから、朝鮮高校を不指定処分すると、明確に表明したのです。(中略)被告自身、規則ハ号を削除したことが、政治外交的な理由であることを認識しているはずです。だからこそ、被告は、本件訴訟において、下村文部科学大臣の発言を伏せるかのように、朝鮮高校だけが不指定処分となったのは、本件規程13条に適合すると認めるに至らなかったという後付けの理由を繰り返し主張せざるを得ないのです―(金弁護士の意見陳述書より)
 反論の余地を許さないとても明白な主張だった。

 金弁護士はまた、被告による朝鮮学校への差別政策が一貫していること、それがさまざまな問題に波及していることをいくつかの事例を上げながら説明。
 16年3月29日、文科大臣が補助金の支給を見直す旨の通知を朝鮮学校のある都道府県に送ったこと、神戸朝鮮高校の生徒たちからお土産が没収された事件、そして民間人による日常的な差別…。
 ―2009年12月4日、授業中の京都朝鮮初級学校の門前に在特会が集まり、拡声器を用いて、「朝鮮学校、こんなものは学校ではない」、「朝鮮半島帰って」、「スパイの子どもやないか」、「朝鮮学校を日本から叩き出せ」、「北朝鮮に帰ってくださいよ」、「キムチくさい」、「約束というものは人間同士がするものなんですよ。人間と朝鮮人では約束は成立しません」等の言葉を1時間に渡って浴びせ続けるという事件が起きました―(金弁護士の意見陳述書より)
 途中、金弁護士は在特会のメンバーらが放った暴言の部分を読みながら言葉を詰まらせ、最後は泣きながら声を絞り出すようにして陳述した。傍聴席にいた九州中高の生徒が何度も顔をぬぐっているのが見えた。

 最後に金弁護士は、「原告らには60人を超える弁護士が代理人となっていることも見過ごさないでください。弁護士としてではなく、一人の日本人として、被告の差別政策の残酷さに耐えかねて、それを正すことこそ、外国人と日本人が共生できる社会へと繋がるという思いから、代理人として手を挙げてくれました」と、たくさんの人の思いが集まっていることを伝えながら、偏見にとらわれず公正な判決を下すよう裁判官に求めた。
 判決言い渡し日は、来年3月14日(木)14時に決まった。

 閉廷後、福岡地裁小倉支部の裏側にある弁護士会館で報告集会が行われた。報告集会にも、変わらず多くの人が参加。傍聴できなかった人のために報告がなされたほか、弁護士、市民団体、九州中高生徒たちが発言やアピールをした。

勝訴を目指して、さらに広がる連帯

 報告集会では、服部弘昭弁護団長があいさつしたあと、金敏寛弁護士が発言。
 金弁護士は「訴状を提出したのが2013年の12月19日。14年3月20日に第1回口頭弁論が始まったので、ちょうど今日で丸4年と6ヵ月ここで審議していたことになる。当時、高校に通っていた学生たちが無償化の適用を受けることなく卒業して、4年6ヵ月が経ってもまだ裁判が終わっていない。弁護団としても非常に申し訳ないと思っているが、ここでようやく一審の区切りをむかえる」とこの間を振り返った。

 また今回の弁論について、「今日提出した書面は2つ。準備書面27は30pほどの書面で、いわゆる損害論、原告たちがどれだけ嫌な思いをし、また被害を受けたのかということをまとめた。その上で、準備書面28では無償化法の仕組みを振り返り、規則ハ削除と規程13条との関係を見たとき、いかに国の不指定処分がおかしいのか、主張が破たんしているのかということをまとめた。書面は合わせて100p弱。加えて最後に182個の証拠を提出した」と報告した。

 続いて、清田美喜弁護士がマイクを受け取り、裁判の内容とは別に、この期間にひとつ事件があったこと、それに対して無償化弁護団が声明を出したことを話した。

 「いま、全国的に“この弁護士を処分して下さい”という通知(懲戒請求)が大量に届く事件が起こっている。朝鮮学校への補助金支給を見直せとした3.29通知に反対する声明を出した弁護士会に届いたことが発端で、他にも各地のたくさんの弁護士を名指しして懲戒請求が送られてきている。ネット上には“ここ宛てにこういう内容で送れ”というようなひな型も上がっており、福岡県弁護士会は、“これは懲戒請求ではなく、懲戒請求の名を借りた嫌がらせだ”と判断している。同様のことが沖縄弁護士会でも起こり、無償化弁護団の白充弁護士が対象の一人になっている。私たちは弁護団の仲間として、そして背景には朝鮮学校に対する差別・排外意識があると重く見て、結審にあたってのメッセージと、今回の懲戒請求は差別と変わりなく、許されないことだというメッセージを込めて声明を出した」

※以下、声明の内容(一部)
 「2018年7月24日、沖縄弁護士会は不当な大量懲戒請求とその背景にある人種差別的言論に対し、強く抗議する会長声明を発出した。当該会長声明は2017年11月から12月にかけて、沖縄弁護士会所属の会員2名に対して合計961通の懲戒請求が行われたこと、同会がこれらを懲戒請求として取り扱わない旨を決定したことを代表とする。なお、当該不当な懲戒請求の対象とされた弁護士のうち1名は当弁護団の一員である。沖縄弁護士会に寄せられた不当な懲戒請求は、当該弁護士の業務における取り組みや姿勢などにはなんら目を向けるものではなく、ただ在日朝鮮人であるというその属性のみに着目してこれを攻撃するものであって、懲戒請求という名前と姿を借りた差別であり、ヘイトスピーチに他ならない」

 次に、韓国・釜山から駆けつけた市民たちが登壇。2006年に発足した「海外同胞民族文化・教育ネットワーク」(同胞ネット)のメンバーを主とした方たちだ。同胞ネットは、その名の通り海外同胞との交流や連帯を目的とした市民団体で、九州の朝鮮学校とも12年間にわたって交流を続けてきた。今年11月には、朝鮮学校との交流に特化し、より多くの釜山市民と在日朝鮮人の子どもたちをつなげるための「朝鮮学校と共に! 釜山市民の会」(仮称)が正式に発足されるという。また、来年2月には、北九州市国際会議場(小倉)で、朝鮮学校を支援するコンサートを予定しているとのこと。朝鮮学校を支援する日本の市民団体とも協力して準備を進めている。

 その他にも福岡ふれあい納涼祭実行委員会より収益金の一部が無償化裁判支援金として手渡され、2年前から活動を続けている「筑豊リボンプロジェクト」が企画した、映画『蒼のシンフォニー』上映会、朴英二監督を招いてのトークショー等が周知された。

 九州朝鮮中高級学校の生徒たちは、支援者たちへの感謝の気持ちを込めた歌とアピールを披露。10月21日に行われる文化祭も宣伝した。

 報告集会後には、九州朝鮮中高級学校で日本の支援者(朝鮮学校無償化実現福岡連絡協議会)主催で、弁護団、釜山市民、学校関係者らが参加する弁護団慰労会が催され、焼肉を食べながら流を深めた。参加者たちは勝訴を目指し、さらにその先を見据えて引き続き闘いを進めていきながら、互いに協力して多様な取り組みを展開していこうとの気持ちを共有していた。


2018年

6月21日

■ 第19回口頭弁論報告(日刊イオブログから転載

 九州無償化裁判の第19回口頭弁論が、きのう福岡地裁小倉支部207号法廷で行われ、約90の傍聴券を求めて百数十人の同胞・日本市民が駆けつけました。九州朝鮮中高級学校の高級部全生徒のほか、福岡朝鮮初級学校の初級部6年生も参加。福岡初級の子どもたちはオモニ会の代表と一緒に車で1時間かけて裁判所を訪れ、初めての裁判所に少し緊張した面持ちでした。

 昨日は、原告側の意見書を提出した三輪定宣先生の証人尋問が行われました。三輪先生は、教育行政学の中でも主に教育財政学を専門として研究されている方で、千葉県に暮らしながらさまざまな大学で教えています。加えて、1980年代からは日本で無償教育をすすめる教育運動を精力的に続けてこられたそうです。御年80歳!

 ご自身の専攻の立場から書き上げた意見書のタイトルは「朝鮮高校生就学支援金差別事件に関する意見書―無償教育の意義と朝鮮高校生就学支援金差別の不当性―」。法廷では、この意見書をもとに尋問が進みました。

 三輪先生は意見書の冒頭で、国連・国際人権規約の社会権規約(=“A規約”。「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」のこと)について、「半世紀にわたり国際社会の権利保障の法規範となっている」と重要性を説明しています。法廷でもそれに言及しつつ、A規約13条で示している「教育への権利」の部分を強調しました。
 
 同13条1項では、「教育についてのすべての者の権利」を定め、「教育が人格の完成及び人格の尊厳」、「諸国民の間及び人種的、種族的又は宗教的集団の間の理解、寛容及び友好」などを目指すべきことを明記しています。
 続く2項では、このような「権利の完全な実現」のため、初等教育の無償性に加えて中等・高等教育の「無償教育の漸進的導入」などを規定しています。
 そして同13条は、規約2条2項が定める無差別平等原則が適用されるため、「人種」「国民的出身」など「地位によるいかなる差別もなしに行使されることを保障」されています。(以上、概要は意見書より)

 三輪先生は尋問に沿って以上のような内容について適切に説明しつつ、したがって「無償教育を受ける権利は、朝鮮高校の生徒にも無差別平等に保障されるべき」だと理論的に明言しました。

 他にも、朝鮮学校が無償化制度に適用されるかどうかの基準となっていた規則1条1項(専修学校及び各種学校のうち「高等学校の課程に類する課程」)2号ハの削除については、「もともと『高等学校の課程に準ずる課程』ではなく、『高等学校の課程に類する課程』」としたのは、一条校だけではなく、より柔軟に適用を認める趣旨のものだから。ハの削除は、朝鮮学校を排除するための恣意的な細工」という旨の発言をして、文科省の裁量権の乱用を指摘しました。

 また、被告による「朝鮮学校は総聯や朝鮮から『不当な支配』を受けている」という主張に関連づけて行われた尋問では、以下のようなやり取りがありました。
 ○ 弁護士「朝鮮学校を見てどう思われましたか?」
 ○ 三輪先生「教育の自治が保障されている。日本の文化についての理解も取り入れながら、自分たちの教育を実践しようという思いが感じられた」
 三輪先生は続いて、「民間の団体が教育の内容を促進させる。そこに権力が不当に介入することが良くない、許されないというのが『不当な支配』の考え方。『不当な支配』の主体は国家や権力」、「(朝鮮による「不当な支配」という論法もあるが)教育基本法ではもともと『他国からの干渉』ということは想定していない」という風にものべていました。

 そうして約1時間におよぶ尋問は終了。専門家による、よどみのない回答に傍聴席からは小さく拍手も上がりました。

 裁判後の報告集会では、三輪先生への尋問を行った安元隆治弁護士が発言。
 「三輪先生は普段から色々な人と話す機会があるが、教育法の学者の中で、この問題について国と同じような立場をとって、無償化制度から朝鮮学校を除外するのを是とするような人とは会ったことがないと仰っていた」
 「今回の裁判に向けて三輪先生と何度も打ち合わせをしながら思ったのが、先生は『(日本で完全な)無償教育を実現する』という、高校無償化よりもさらにずっと先を見ている方だということ。とても大きなことを考えている先生に、国によるヘイトのような、朝鮮学校だけを除外するという理屈はあり得ないという、こんな情けない証言をして頂かないといけない事態に申し訳なさを感じた。そういう酷い価値観の中で、この問題をどう捉えるべきかということを裁判官にアピールしたかった」
 とても印象的な視点でした。

 続いて金敏寛弁護士が、「先日の原告2人も、裁判官に対して非常に堂々と、朝鮮学校で学ぶことの意義、なぜ自分が高級部を卒業しても原告となり、裁判所に来て話をするのかという熱い思いを話してくれた」と、6月7日に開かれた第18回口頭弁論(原告への本人尋問)についてもおさらい的に言及しました。

 私も別の場所でたまたま聞いたところによると、大変いい尋問だったとのことで、内容を以下に紹介します。

 「幼稚班から高級部まで朝鮮学校に通った子で、今は日本の大学に通っている。その子によると、差別はときどき受けてきたらしいんですね。例えば、中級部の時に日本の学校とサッカーの試合をしていて、朝鮮学校側が勝っていたら相手チームの選手から『キムチくせえ』と言われたとか。私みたいな日本人からしたらすごくショックで、ああ、もっと差別の現状を知らないといけないなと思いました。でも、その子は『ほとんどの日本人はそんなことはなくて、とても親切にしてくれる』とキラキラした目で話すんですね…」
 「私が尋問を担当したんですが、質問の打ち合せも特にせず、その子には思っていることを本当に素直に自由に話してもらいました。そうしたら、『大学には朝鮮名で通っているの? 通名で通っているの?』という質問で、その子がついうっかり法廷で自分の本名を言ってしまったんですね。法廷では、傍聴席から顔が見えないように仕切りも置くのに、自分で名前を言っちゃった(笑)。閉廷後、報道の方に『名前を出すのは控えて下さい』と伝えましたよ」(弁護団・後藤富和弁護士より)

 裁判官も、このハプニングにはつい笑ってしまったそうです。

 さて次回、第20回口頭弁論の期日は9月20日(木)14:00に決まりました。場所は福岡地裁小倉支部207号法廷です。弁護団はこれから最終準備書面の作成に取りかかります。九州でもついに結審! 緊張が高まります。引き続き各地の進行状況とリンクさせながら、力強く進んでいく様子を追っていきたいと思います。


2018年

6月7日

■ 第18回口頭弁論

  2018年6月7日(木)14時から、第18回口頭弁論が福岡地裁小倉支部207号法廷で行われました。

 今回提出された書面等は次のとおりです。
 原告・準備書面(25)、甲A170〜177号証、被告・準備書面(13)、乙163〜165号証

 裁判では、原告2名の本人尋問に先立って、九州朝鮮高級学校とそこで学ぶ生徒の様子を記録した動画(甲A177)が上映されました。釜山在住の映画監督が撮ってくれたもので、素晴らしい内容となっています。裁判官や被告代理人も真剣な表情で映像を見ていました。

 動画上映後、原告2名の本人尋問(各30分)が行われました。一人は、朝鮮高校を卒業後、日本の大学で薬剤師を目指している男性原告で、もう一人は、朝鮮高校を卒業後、朝鮮大学を経て保育士の資格を取得して朝鮮幼稚園で働く女性原告です。女性原告は民族衣装であるチマチョゴリを着て尋問に臨みました。
 両原告とも無償化差別に対する思いや、朝鮮高校での生活状況等、丁寧かつ真剣に受け答えしていました。尋問を傍聴した方からも尋問の内容が良かったという声をいただきました。

 次回、第19回弁論は、2018年6月21日(木)14時00分から指定されました。三輪定宣教授の証人尋問が行われます(主尋問60分)。

他地域の裁判状況

 □ 広島(控訴審)
   2018年9月4日(火)に控訴審の第2回弁論となっています。

 □ 大阪
   2018年4月27日(金)に控訴審が結審となり、
   控訴審判決は、2018年9月27日(木)15時に言い渡されます。

 □ 愛知
   2018年4月27日(金)に第一審判決が言い渡されましたが、
   敗訴判決となりました。愛知弁護団は控訴しました。

 □ 東京
   2018年6月26日(火)に控訴審の第2回弁論となっています。


■ 第18回口頭弁論報告(弁護団事務局長 金敏寛弁護士)

 2018年6月7日(木)14時から、無償化裁判の第18回口頭弁論が行われました。
 当該期日は、原告2名の本人尋問が実施される期日であり、多くの傍聴希望者が来ることが予想されたため、通常使用する203号法廷(傍聴席約40名)ではなく、福岡地裁小倉支部で最も広い207号法廷(傍聴席約80名)で弁論が行われました。

 期日では、冒頭、両当事者が提出した準備書面及び証拠の確認がありました。 原告は、準備書面(25)を提出するとともに、甲A170〜177号証を提出しました。

 準備書面(25)は、検討会議での議論状況や経過に関する内容となっており、被告である国が、ハ号規程13条に関して突如言い出した「教育基本法」やこれに関する「不当な支配」等のワードが、検討会議における議論では何らなされていなかったことを整理した書面となっており、これに合わせて甲A170〜176号証を提出しました。

 甲A177号証は、検証が実施されないこととなったため、九州朝鮮高級学校やそこに通う学生らの様子を記録したDVDとなっており、尋問に先立って、裁判官や被告代理人、傍聴席に向けて上映しました。
 朝鮮語の授業だけでなく、日本語や英語の授業、世界歴史に関する授業風景が記録されており、休み時間に日本の小説を読む様子や運動会の練習風景等も記録されていました。また、2018年2月に行われた無償化差別に反対する県民集会の様子や集会後に小倉駅で行われた街頭宣伝の様子も記録されていました。この動画は、釜山出身である映画監督が作成してくれたもので、監督は、無償化裁判が始まる数年も前から、釜山から何度も朝鮮学校を訪れてくれている方です。朝鮮学校を知らない裁判官や被告代理人も真剣な表情で10分間の動画を見つめていました。

 DVD上映後、原告2名の本人尋問が各30分ずつ実施されました。原告の一人は、朝鮮高校卒業後、日本の大学に進学して薬剤師を目指している男性であり、もう一人は、朝鮮高校卒業後、朝鮮大学に進学した後、保育士の資格をもって朝鮮幼稚園で勤務する女性です。

 原告両名とも朝鮮高校在学時に無償化制度を知り、朝鮮高校にも無償化が適用されることに関して大きく期待したけれども、審査が長引くばかりか朝鮮高校だけが無償化制度から除外されたことを知り、大きく傷つくとともに、朝鮮学校差別に対する憤りを覚え、自分たちは朝鮮高校を卒業するものの、学校で学ぶ後輩たちのためにも、無償化適用に向けて戦い続けるという強い気持ちを裁判官に訴えていました。

 男性原告は、日本の大学に本名で通い、在日の歴史を知らない人たちからは、「いつ日本に来たのか」と質問されることはあるけれども、丁寧に説明すれば、ほとんどの人が在日のことを理解してくれ、この無償化裁判についても、勝訴してほしいと温かい言葉をかけられたと話していました。また、最後に裁判官に言いたいこととして、朝鮮半島や朝米を取り巻く政治情勢が大きく転換しようとする中、日本政府だけが、このような朝鮮学校差別を続けてもよいのかと訴えていました。

 本来であれば、無償化問題と政治問題は全く無関係であるにもかかわらず、男性原告は無償化問題の本質を見抜き、裁判官に対して、その本質から目を背けずに判決してほしいと訴えていたように思われます。

 女性原告は、民族衣装であるチマチョゴリを着て尋問に臨みました。なぜチマチョゴリを着たのかを尋ねると、自分は日本で生まれたが日本人ではなく朝鮮人である、そのことを強く意識してこの裁判に臨まなければならないと思ったので、チマチョゴリを着てきたと話していました。
女性原告は幼いころから朝鮮舞踊を学び、民族の歌に合わせて踊ることで、自分が何者であるのかを意識できると話しながら、朝鮮学校でウリマル(朝鮮語)に触れ、朝鮮学校で生活することこそ、朝鮮人である自分たちにとって重要なことであると話していました。

 在日朝鮮人が、日本において民族の言葉や文化に触れながら自由に学ぶことが何故妨害されなければならないのかと、これまた無償化裁判の本質を裁判官に強く訴えていたと思われます。
また、女性原告は幼いころから保育士になることを目標としていましたが、日本の大学に進学すれば保育士の資格を得られるところ、あえて日本の大学には進学せず、朝鮮外学校で保育を学びました。朝鮮大学校を卒業しても保育士の資格は得られないため、別途国家試験を受験しなければならず、原告は、朝鮮大学校卒業後に国家試験に合格して保育士の資格を取得して、現在は朝鮮幼稚園で、園児に対してウリマルや民族の文化、歌や踊りを教えていると話していました。

 原告2名の尋問が終わると、傍聴席からは大きな拍手が起こりました。本来であれば裁判官は拍手を制止しますが、傍聴席の拍手を制止することはありませんでした。それほどに、裁判官の心に響いた尋問であったと思われます。被告代理人からも原告本人に対する反対尋問はなされず、次回期日や判決に向けて意義のある尋問となったと思います。

 次回期日は、2018年6月21日(木)14時から、207号法廷で三輪定宣教授の証人尋問が実施されます。三輪教授は、無償化法制定や改正にあたって、国会に参考人として招致された方で、朝鮮高校差別に関して、人類の無償教育という大きな視点から説いてくれることが強く期待されます。

2018年

5月10日

■ 第17回口頭弁論

 2018年5月10日(木)14時から、第17回口頭弁論が福岡地裁小倉支部203号法廷で行われました。
 裁判傍聴抽選には100名以上の方が参加され、39名が傍聴されました。

 今回、裁判には原告から、@準備書面(23)(ハ号削除の違法性こそが本件での争点であること)、A準備書面(24)(被告第12準備書面に対する反論及び下村氏及び前川氏の尋問の必要性)が提出されました。被告からの書面提出はありませんでした。

 裁判では、裁判体の変更があったこと(左陪席が変更)と関連して、朴憲浩弁護士が意見陳述を行い、本事件の概要、重要な論点、そして証人採用の必要性について主張しました。

 朴弁護士は、本件の経緯について、『2010年4月にスタートした高校無償化制度の受給権者は外国人を含む、すべての高校生であり、日本における外国人学校として真っ先に想定されたのは、歴史も深く、数も多い朝鮮高校であったことはいうまでもない。朝鮮高校の生徒数を前提とした予算が計上されるなど、朝鮮高校に無償化法が適用されることは、当然の前提として想定されていた。…しかし、自民党議員や拉致問題担当相、右派のマスコミがそれに異議を唱え、野党議員時代の下村博文氏は国会にて「朝鮮高校に対してはもう対象から外せ、外すべきだ」と発言した。このような言説が世間や国会でおおっぴらに繰り広げられた。…このような議論に対して、当時の政府は「政治外交上の配慮をせず、教育上の観点から客観的に判断する」との統一見解を何度も繰り返した。しかし、2012年12月26日、自民党政権が誕生し、そのたった2日後、下村元文科大臣は、政府統一見解を廃止し、全国の朝鮮学校を排除する旨を表明し、あろうことか根拠条文のハ号を削除する手続きを開始した。そして、2013年2月20日、全国の朝鮮高校は一斉に不指定処分を受けたのである。そしてハ号を失った朝鮮高校の生徒達は、未来永劫、申請をすることができなくなった。被告が、実質的な審査を無視し、結論ありきの政治外交上の理由に基づいて、朝鮮高校を制度から排除したことは、これまで原告らが主張してきたとおりだ。』としました。

 その上で、『本件の一つのポイントはハ号削除だ。前川氏の陳述書にもあるように、審査が続いているのに、根拠規定を削除し、不指定にすることなど、通常考えられない。被告は、朝鮮高校を排除するという結論ありきで、ハ号を削除して申請の根拠を失わせ、不指定処分に付した。このことは「ハの規定の削除に伴い、朝鮮高級学校を不指定とするものである。」という決裁文書の記載にもうかがえる。規程13条不適合という理由は、実質的な審査もせずに付加された、後付けの理由である。ハ号が削除されれば、当然、その審査基準であるハ号規程13条も効力を失う。にもかかわらず、どうして規定13条不適合を理由に処分が行えるのか。論理的に見ても、規定13条不適合性を理由とした不指定処分をすることはできない。本件不指定処分は、ハ号削除のみを理由としてされたものでしかありえない。ハ号削除の違法性こそが重要な争点』なのだとしました。

 そして『下村元文科相は、このハ号削除と不指定処分の方針を表明し、現にそれを行った張本人だ。この人物を呼んでその判断について尋問しない手はない。さらに、前川氏は無償化法の制定段階から、文科省内の議論に深く関与してきた人物で、民主党政権時代の朝鮮学校の適用に向けた議論、そして自民党政権が発足してからの排除に向けた議論状況をよく知る人物である。朝鮮高校が適用対象であるはずだったこと、そして被告が政治外交目的に基づき朝鮮高校を排除したことの実情を聞くことができる。』とし証人採用の必要性を説きました。

 朴弁護士は、もう一つのポイントは不当な支配だとしながら、先日言い渡された名古屋地裁判決は、規定13条不適合性、特に不当な支配の疑いがあることを理由に、全ての請求を棄却したとし、明らかに教育内容に踏み込んでいる判決の不当性、民族教育の正当性、被告の主張の不当性を主張しました。

 裁判では、次回裁判以降、原告2名及び無償化法制定にあたって国会に参考人として招致された三輪定宣教授の尋問が決まりました。

 但し、本裁判のポイントと関連して強く採用を主張した下村元文科大臣及び前川喜平氏の証人申請に関しては、裁判所は、「必要性なし」との理由で証人採用しませんでした。本件について、最も事情を知る証人であるにもかかわらず、採用しないとした裁判所の姿勢に、弁護団はもちろん、傍聴席も強い憤りを感じましたが、裁判官は弁護団の不採用の説明要求に対して逃げるように法廷を後にしました。

 次回裁判は6月7日(木)14時から検証に代わる動画上映及び原告2名の本人尋問、6月21日(木)14時から三輪教授の証人尋問を小倉地裁で最も広い207号法廷で行うことが決まりました。

■ 報告集会

 報告集会では、弁護団事務局長の金敏寛弁護士より裁判に関して『下村、前川氏の証人不採用に関して、裁判の争点と関連して裁判所に説明を求めたが説明はなかった。民事裁判において証人採用の判断は裁判所の裁量に託すしかないが納得できる判断ではない。』とし、なぜ両人の証人採用が必要だったかなどの説明と次回以降の裁判日程に関しての説明がありました。

 また、意見陳述を行った朴憲浩弁護士、弁護団長の服部弘昭弁護士、安元隆治弁護士、清田美喜弁護士から裁判所の判断をどう考えるべきか詳細な説明がありました。

 その上で、4月の愛知裁判に参加した石井衆介弁護士より、判決の不当性、問題点に対しての説明と、その内容を九州裁判にどのように生かしていくか提案があり、会場から大きな拍手が起こりました。

 その他に報告集会では、九州裁判が終盤に差し掛かった事と関連して、九州朝鮮中高級学校の在校生、オモニ会役員から新たな決意表明と勝訴に向けた協力要請があり、参加者から連帯の意思が表示されました。

 最後に弁護団から、次回裁判は大きな部屋(207号法廷)で行うので今以上に多くの方が傍聴に訪れてほしいとの呼びかけで報告集会を結びました。

■ 懇親会

 報告集会後、九州朝鮮中高級学校で、同校オモニ会主催の弁護団との懇親会があり、普段接することが少ない弁護団とオモニ会の交流が行われました。
 終始和気あいあいの懇親会を通して裁判勝訴に向けての決意を新たにしました。

■ 他地域の状況
 - 広島(控訴審)
   2018年5月15日(火)に控訴審の第1回弁論となっています。
 - 大阪
   2018年4月27日(金)に控訴審が結審となり、控訴審判決は、
   2018年9月27日(木)15時に言い渡されます。
 - 愛知
   2018年4月27日(金)に第一審判決が言い渡されましたが、敗訴判決となりました。
   愛知弁護団は控訴する予定です。
 - 東京
   2018年6月26日(火)に控訴審の第2回弁論となっています。
   東京高裁は、国側に対して、不指定処分の2つの理由について、論理関係を明確に
   するよう求めています。
   不指定処分の理由は「ハ号削除」と「規程13条に適合すると認めるに至らなかった」というもので
   すが、ハ号が削除されれば、ハ号の具体的基準となる規程13条は存在しないのではないかとい
   う問題意識です。ハ号が削除された理由と、ハ号が存在することを前提とする規程13条の理由
   が「及び」でつながっていることに関して、論理的に説明するよう求めています。
   なお、原告は準備書面(23)において、東京高裁と同様の問題式を指摘しています。


2018年

3月8日

■ 第16回口頭弁論

 2018年3月8日(木)14時から、第16回口頭弁論が福岡地裁小倉支部203号法廷で行われました。
 裁判傍聴抽選には114名が参加され、42名が傍聴されました。
 前回裁判から、前川前文科省事務次官の陳述書が提出され、記者さんとの学習会などを行った関係で、マスコミの関心が高くなり6席の記者席が満席でした。

 今回、裁判には原告から、@準備書面(22)(前川喜平氏の陳述書に基づく準備書面)、A甲A167〜171号証、B甲B42号証(原告本人の陳述書)が提出され、被告からは第12準備書面(原告準備書面(22)に対する認否)が提出されました。

 裁判では、下村元文科大臣及び三輪教授の証人採否の必要性について石井衆介弁護士が、前川喜平氏の証人採否の必要性(準備書面(22))について清田美喜弁護士が要旨の陳述を行いました。

 また、これまでの弁論は、提出書面と次回期日の確認程度で終了していましたが、今回の弁論では、ハ号削除に関して下村元文科大臣の話を聞かなければ判決することができないこと、無償化法の制定過程や規程13条の解釈にあたって前川氏の話を聞かなければ判決できないこと、原告準備書面(22)に対する被告の認否を見ても、前川氏を採用すべきであるとの意見が法廷で繰り広げられたため、弁論が約1時間にも及びました。

 裁判所としては、今回の弁論で証人の採否について結論を出す予定でしたが、2月26日の進行協議における弁護団の強い意見と法廷における弁護団の勢いに耐えかねて、証人採否は次回弁論(5月10日)までに「慎重に検討する」ということになりました。
 なお、裁判所は、原告2名と三輪教授については採用するとしています。

■ 報告集会

 報告集会では、弁護団事務局長の金敏寛弁護士より裁判に関しての説明がありました。要旨は次の通りです。
 ・今日の裁判では、証人採用に関して、原告、被告、裁判所の認識の差を感じていたのでこれを解消しようと論議した。
 ・原告は準備書面22を提出(前川さん証人採用の必要性等)し、被告は準備書面12を提出した。
事実認定を行う事が裁判所の仕事であるにもかかわらず、原告の主張に対して被告は、前川さんの陳述に関して「認める、争う」等、主張の異なる意味不明な書面を提出してきた。
 ・原告は前川、下村、三輪さんの証人尋問の必要性を説いた書面を提出し、文書提出命令の補充意見書を提出した。
 ・意見交換の結果、次回以降の裁判期日を決定した。(別項参照)

 また、報告集会では白充弁護士より、なぜ裁判で争点整理の問題を提起したのかに対して説明がありました。白弁護士は、この問題を提案しなければ、争点が曖昧になる。被告は争点、即ち問題点を明らかにしたくない。即ち、無償化適用除外=おかしい、という単純な問題を表面化させたくないという事。だから、進行協議の仮日程の決定に関しても最後まで拒んだ。と述べた上で、確実に勝てる裁判なので最後まで一緒に頑張ろうと呼び掛けました。

 報告集会では、支援団体からの発言に続いて、他地方の裁判の状況について説明がありました。
 ●広島
  控訴審に入っていますが、訴訟委任状等の不備があり、控訴審の期日は決まっていません。
 ●大阪
  2018年4月27日(金)に控訴審の第3回弁論となっています。
  2月14日の第2回弁論で結審するかと思われましたが、第3回弁論が指定されました。
 ●愛知
  2018年4月27日(金)に第一審の判決が言い渡されます。
 ●東京
  2018年3月20日(火)に控訴審の第1回弁論となっています。

 最後に弁護団から、証人尋問は大きな部屋(207号法廷)で行うので今以上に多くの方が傍聴に訪れてほしいとの呼びかけで報告集会を結びました。

■ 次回以降の裁判日程

 ●第17回弁論は、2018年5月10日(木)14時00分から指定されました。
   この日に人証の採否が決まります。
 ●第18回弁論は、2018年6月7日(木)14時00分から指定されました。
   この日に、検証に代わる動画上映と原告2名の本人尋問を行う予定です。
 ●第19回弁論は、2018年6月21日(木)14時00分から指定されました。
   この日に、少なくとも三輪教授の尋問を行う予定です。
 ●本人尋問及び証人尋問については、小倉支部で最も広い207号法廷で開かれる予定になっています。


2018年

2月20日

■ 「朝鮮高校無償化即時適用実現」福岡県民集会・学習会

 2月10日、北九州市小倉北区の北九州国際会議場で、「朝鮮高校無償化即時適用実現」の為の学習会・福岡県民集会が開催されました。県内の朝鮮学校を支援する会が中心となった実行委員会が主催。九州朝鮮中高級学校高級部の生徒や支援者200人が参加した。学習会では「大阪裁判に学び、福岡勝利へ」と題して、丹羽雅雄弁護士(大阪無償化裁判弁護団長)が講演をしました。「大阪での判決は、戦後の在日朝鮮人の民族教育を踏まえ、朝鮮学校における教育の自主性、自律性を認めたものであった。」と説明しました。引き続き、県民集会では、今後の裁判の動きの報告、生徒代表や保護者、支援団体の決意表明が行われました。「福岡裁判では、何としても勝利するぞ」という熱い思いを共有する集会となりました。その後、支援者や高級部生徒たち約100人が、小倉駅前で街頭宣伝行動に取り組みました。そこでは、横断幕に目を向け、宣伝物配布の生徒たちに声をかける市民の姿も見られました。


2017年

12月7日

■ 第15回口頭弁論

 12月7日(木)11時から、第15回裁判が福岡地裁小倉支部203号法廷で行われました。
 傍聴希望者は120名を超えていましたが、残念ながら今回も43名しか入らない法廷での裁判となりました。

 今回の裁判には、原告側から文科省前事務次官の前川喜平さんの陳述書を含む甲号証の証拠と前川氏の証人尋問を申請する証拠申出書が提出され、被告(国)からは第11準備書面、乙号証の証拠、文書提出命令申立書に対する意見書が提出されました。

 裁判では清田美喜弁護士が証拠申出書に関して意見陳述を行いました。

 清田弁護士は、原告らは、無償化法の制定、審査過程から、文部科学省の官僚としてこの問題に深く関与してきた、前川喜平氏を証人として申請したとした上で、前川氏の証人尋問を行う意義を説明しました。 『これまで原告らは、無償化法や就学支援金に関して公開されている資料を分析し、九州朝鮮高校を無償化の対象から排除したことが差別であり、原告らの憲法上の権利を侵害すると同時に、無償化法の趣旨に反することを主張してきた。この事件について正しく事実を把握し、法令を解釈適用するには、無償化法の制定背景や制定に至る過程、検討会議や審査会の状況、そして不指定となるまでの一連の経緯を詳細に把握する必要がある。それも、立案や制度設計を担ってきた文部科学省において、どのような議論や経緯があったかを正確に把握する必要があり、意思決定のプロセスなどは、その組織の中に身を置いたことのない人間でなければ説明できない。東京での訴訟において、文部科学省の役人が証人に採用されたのも、この趣旨であると理解している。そこで、九州の訴訟においては、事務方のトップである事務次官を経験し、文部科学省の組織や意思決定のあり方について熟知している前川氏から、不指定に至る過程について話を聞きたいと考えている。』

 また、前川氏から、立法者意思についても話を聞きたいと述べながら 『前川氏は、2009年当時、文科省初等中等局担当審議官という役職についていた。 局の担当審議官とは、その局が取り扱っている業務全般を俯瞰する立場にある。無償化法の制定に向けて文部科学省が動き始めた当時、無償化法の直接の担当である初等中等教育局の担当審議官であったということは、無償化法に関する初等中等教育局の動きや議論を直接に把握する立場にあったということを意味する。法令の解釈適用においては、立法者意思、すなわちその法令の立案にかかわった省庁の担当者が、どのような趣旨で法令の文言を決め、どのような運用を予定しているのかということが、非常に重要視される。無償化法、同法施行規則の立案段階で、局担当審議官をしていたということは、まさにこの立法者意思を把握している立場にあった。』
 また、その後の前川氏の経歴などを説明し、直接、京都、大阪、神戸の朝鮮学校の視察に赴いていた事実、これらの視察も経て、ハ号規程が制定される過程、無償化法とその下位規範の制定過程における立法者意思について、最もよく知る人物であると説明した上で 『本件において裁判所が文部科学省内の組織や意思決定の在り方、そして無償化法とその下位規範における立法者意思の在り方について、事実認定と法令の解釈適用を行うにあたり、前川氏の尋問は必要不可欠』と訴えました。

 清田弁護士は、陳述の最後に、検証についても付言しました。 清田弁護士は前川氏の陳述書を引用しながら、実際に学校を視察した際に印象に残った出来事、学校を訪問したことをきっかけに疑問を解消したこと、日本での生活実態に合わせた教育を行い、「高等学校の課程に類する課程」を置いているという心証を抱いたことなどを説明した上で、『本件の実質的な争点は、原告らの通っていた九州朝鮮高校が、「高等学校の課程に類する課程」を置くものであって、無償化法及び同法規則に該当するかという点にある。この点を適切に判断するにあたっては、実際の学校に赴くことが必要不可欠』と、検証(学校訪問)を採用ないしこれに代わる現地進行協議の実施を強く求めました。

 裁判では進行と関連して、裁判官より両弁護団に確認があり、次回裁判までに2回の進行協議を行うこととなりました。(2月8日15時、2月26日11時)

 次回裁判は2018年3月8日(木)14時から行われる予定です。

■ 報告集会

 裁判後に行われた報告集会では、金敏寛弁護士がこの日の裁判に提出された原告と被告の提出書面について報告を行いました。

 金弁護士は、被告が提出した準備書面は、大阪無償化裁判の控訴理由書を流用したもので、内容はほとんどないと切り捨て、乙号証の証拠も約800頁にも及ぶが、そのほとんどが屁理屈の為の証拠だと断じた上で、今回、原告側は、文科省前事務次官の前川喜平氏の陳述書を裁判に提出したこと、前川氏の証人申請を行ったことなどを報告しました。

 また、次回裁判までの進行協議の状況によっては、次々回裁判から証人尋問が行われる可能性があることや全国の裁判状況についての説明がありました。

 ※参考
 -東京 11/28 進行協議
 -愛知 12/20 結審予定
 -大阪 11/24 第1回控訴審
 -広島 10/31 控訴理由書提出

 報告集会では、清田美喜弁護士より意見陳述を行った内容に関して詳しい説明がありました。

 また、福岡県朝鮮学校を支援する会代表の中村元氣さんより、前川氏の証人尋問を是非実現してほしいが、出来なかった場合でも講演会等を行い、世論喚起の場を設けたいとの申出がありました。

 また、在日本朝鮮留学生同盟(日本の大学に在籍する在日コリアンたちの会:略称留学同)九州本部代表より、留学同として「朝鮮学校差別反対!全国大学生行動」を行っていること、文科省前での抗議行動を予定している事、メッセージカードを募集している事などを報告し、協力を求めました。

 報告集会最後に、朝鮮学校無償化実現福岡連絡協議会より、2018年2月10日に北九州小倉の北九州国際会議場で、県内の朝鮮学校を支援する三団体と共催で大阪無償化裁判弁護団団長の丹羽雅雄弁護士をお招きして学習会を行った上で、全国統一行動の一環として県民集会、街頭活動を行うとの説明があり、集会参加者への参席を呼び掛けました。

■ 交流会

 今回、新しい試みとして九州朝鮮中高級学校の生徒と弁護団、連絡協議会による交流会が北九州市八幡西区にある九州朝鮮中高級学校で行われました。

 普段、接する機会の少ない朝鮮学校生徒と直接ふれあう事で、お互いを理解する場を設けようと交流会が企画されました。

 緊張した面持ちで始まった交流会ですが、時間と共に打ち解け、終始笑顔が絶えない交流会となりました。
 朝鮮学校生徒からは、弁護士になろうと思ったきっかけは何か、今の日本で朝鮮学校を支援しようと思ったのは何故かなど、素朴な質問が発せられ、弁護団、連絡協議会からは将来の夢、無償化制度から除外されて感じている事など高校生の率直な気持ちを知ろうとする質問がありました。

 約2時間の交流会を終えて生徒たちに感想を聞いてみると、『弁護士てもっとカタイ人がなると思っていた』、『朝鮮学校を何十年も支援している日本人がいる事を初めて知った』など新しい発見があり、有意義な時間を過ごせたようでした。

■ 懇親会

 九州無償化裁判弁護団、朝鮮学校無償化実現福岡連絡協議会、九州朝鮮中高級学校教員、釜山の朝鮮学校支援団体代表、北九州在住の在日同胞らによる懇親会が、同日、学校校舎で行われました。

 寒さのため、屋外での焼肉を変更し、室内でのホルモン鍋会となりましたが、久しぶりのみんなでの懇親会に参加者のテンションはあがりっぱなし。酔いのせいか、職業病なのか参加者のリレートークでは、司会が3分以内でとお願いしたにもかかわらず、全員が5分以上発言し、中には30分発言させろと司会に詰め寄る剛の者もいましたが、本音トークを交え、有意義で楽しい懇親会となりました。

 懇親会後には、恒例(?)2次会が行われ、熱い論議が夜中まで続きました。
 参加者一同、異口同音に次回は焼肉!との事でした。


2017年

9月14日

■ 第14回口頭弁論(日刊イオからの転載)

 世論を動かし、さらなる前進を! ―九州無償化裁判第14回口頭弁論

 愛知に続き、福岡では9月14日に九州無償化裁判の第14回口頭弁論がありました。北九州市にある福岡地裁小倉支部には、42の傍聴席を求めて約150人が集まりました。私は今回初めて九州裁判に来ることができましたが、傍聴希望者に比べて傍聴席の数があまりにも少ないことに驚きました。

 法廷には、愛知裁判と同じように記者席が設けられ、地元の日本人記者たちも傍聴しました。
 この期間、原告側弁護団は被告に対し、文科省の就学支援室長が変わった際に引き継いだ文書を開示するよう求めた求釈明申立書というものを提出していました。被告は、そのようなものはないと主張したため、改めて文書提出命令(裁判所から被告に、文書を提出するよう促すよう求めること)の手続きを申し立てました。
 また、福岡でも証人尋問の段階が近づいているため、原告2人、意見書を提出した三輪教授、また不指定処分を下した張本人である下村博文・元文科大臣を法廷に呼ぶための申し出をしました。
 同時に、弁護団はいくつか証拠を提出。その中には、大阪無償化裁判の勝訴判決や東京新聞に掲載された前川喜平・文科省前次官のインタビュー記事もありました。
 一方、被告からは、関連書類を提出する必要はないなどという内容の準備書面9、10が提出されたほか、広島無償化裁判の判決が証拠として提出されました。
 事務的なやりとりの後、法廷では原告側弁護団から白充弁護士と金敏寛弁護士が発言しました。

 沖縄で弁護士をしている白弁護士は、九州無償化裁判の提訴行動に参加した以降はなかなか弁論期日に来ることができないでいたといいます。しかし、広島での不当判決、そして大阪での画期的な判決を目にして、各地方で涙する後輩、先輩、同胞やさまざまな支援者の顔を見ながら「負けても勝っても、自分もこの中にいたい」と思ったそうです。遅ればせながら、今回から改めて積極的に携わっていこうという気持ちを強く持ち、この日の弁論に参加することを決めていたところに、奇しくも東京の不当判決。「やはり来ると判断してよかった」と前置きをし、話し始めました。
 「証拠に基づく事実認定がそんなに難しいことなんでしょうか。法律の趣旨と目的に従って法を適用する、大阪ではそれを丁寧に行いました。どうして広島や東京ではそれができなかったんでしょうか。高校生だって『三権分立』について知っていると思うんです。司法が行政をただす、ただそれだけのこと。いち地域のことではありますが、この裁判の判決は、ここに座っている一人ひとり、学生、保護者たちだけでなく、日本各地にまで伝わるもの。一つひとつの判決が歴史に残ります。裁判所にはぜひ適正な判断をしてほしい」
 白弁護士は、司法のあるべき姿について切々とのべました。

 続いて金敏寛弁護士は、朝鮮学校への検証(裁判官が学校を訪れること)と下村博文・前文科大臣に尋問をする必要性について強く訴えました。
 「東京の判決を読まれたと思いますが、こんな言葉遊びをしていたら日本の司法は崩壊します。必ず他の問題にも波及する。広島と東京は結論ありきの判決でした。他方で大阪は、原告の主張をきちんと検証したうえで結論を出しました。裁判所ならどちらが正しいか分かるはずです。原告の立場、訴えをきちんと理解しないと判決は書けないと思います。実際に朝鮮学校を見てみないと分からない。裁判所の皆さんには、これをしっかりと確認した上で判決を書いてほしい」。

 ふと「人情味」という言葉が思い浮かぶくらい、弁護士たちの熱い語り口調が印象的でした。

 口頭弁論が終わり、報告集会へ。傍聴に外れたたくさんの人たちは、ミニ学習会として大阪が勝訴を勝ち取った時の一連の映像を見ていました。

 報告集会では金敏寛弁護士が先ほどの内容について解説し、東京無償化裁判の判決にも言及しました。
 「下村・元文科大臣は2012年12月の記者会見で、拉致問題の進展がないことと朝鮮学校が総聯と密接な関係にあるから不指定処分にするとはっきり言っている。しかし、裁判所は『本件不指定処分などの個別具体的な処分やその理由についてのべたものではない』と、言葉遊びでしか判決を書いていない。結論ありき。こんないい加減なことがまかり通ってはいけない」と怒りを示しました。

 その後、弁護団からは白充弁護士のほか、前日に愛知無償化裁判を傍聴した安元隆治弁護士も発言しました。

 「愛知は非常にいい尋問だった。愛知朝鮮学園の理事長は朝鮮学校と総聯の関係について正面から話していた。また、原告は一人に1時間を費やし、深く話を聞くことができた。祖父・祖母の話から続き、在日朝鮮人がどのような気持ちで生きてきたのか、家族も含めた話が語られて、ぐっとくるものがあった」。
 また、九州裁判については「他の地域では控訴が続くが、そこではあまり新しい事実を取り上げて判決を書くというよりは、一審の判決で矛盾はないか、そのためにはどのような証拠調べが必要なのかという視点で動くため、出来ることが限られている。そういう意味で九州裁判は、ますます全国的な位置づけが大きくなってくる。進行が遅い分、他の訴訟でできなかったことをやれる。重要な責任を感じている」と、その位置づけについていま一度強調しました。

 次に、支援者から連帯のメッセージがありました。

 今年8月26日に福岡朝鮮初級学校で行われた「福岡ふれあい納涼祭」の李鐘健実行委員長(同校アボジ会会長)は、「昨日の東京判決はとても悔しかったが、弁護士の先生たちの話を聞きながら、今日からまた頑張っていこうという気持ちになった。福岡初級の保護者、同胞、日本の友人の方々の熱い思いがこもっている、納涼祭の収益金の一部を持ってきたので、ぜひ今後の運動に役立ててほしい」と話し、朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会の瑞木実事務局長に支援金を手渡しました。

 続いて、今年6月に山口県で行われた「モンダンヨンピルコンサートin下関」の内岡貞雄実行委員長(写真右)が発言。モンダンヨンピルとは、朝鮮学校を支援する韓国の市民団体です。
 内岡さんは「モンダンヨンピルの人たちは、下関朝鮮初中級学校に来るや否や子どもたちとぴったり寄り添って喋ったり歌ったり、食事を共にしていた。学校の先生とも心から交流していた。本当は、ここにも直接きて激励の言葉を送りたいと話していたが、諸事情で来られないため、代わりに気持ちを伝えてくれと10万円を預かってきた。また、学校のオモニ会がバッジを売って2万4千100円の利益があったため、それも合わせて持ってきた」と話し、瑞木事務局長に支援金を伝達しました。

 連帯のメッセージ最後に、龍谷大学の金尚均教授があいさつしました。金教授は、今年2月に福岡県で行われた「高校無償化即時適用実現・全国統一行動に連帯する福岡県民集会」の時も京都から駆けつけ、講演を行いました。
 「東京判決は、広島判決に続いて非常にひどい内容だった。そもそも無償化制度は、貧富の差や国籍にも関わりなく均等に教育を受ける権利を保障しようというもので、政治的な判断が含まれないというのが前提。それにも関わらず、今回の裁判では朝鮮や総聯との関係を取り上げ、しかもそれが朝鮮学校に対して『不当な支配』をしていると言っている。なぜ朝鮮学校が戦後、日本の中で生まれ、そして今もあるのかということがまったく裁判官に伝わっていない。そういう意味で、弁護団が主張している朝鮮学校への検証は必ず実現されなくてはいけない。正直、私が経験した京都朝鮮初級学校襲撃事件の裁判でも、裁判官が検証のために朝鮮学校に来たことで流れが変わった」と検証の重要性を熱弁。「この裁判で負けるということは、朝鮮学校に差別することは日本社会で許されるということ。絶対勝たなければいけない」と締めくくりました。

 最後に、金敏寛弁護士が今後の進行について説明。「他の4地域の裁判で、文科省の関係者を尋問に呼べたのは東京だけ。5つの地域の中で唯一、九州裁判で尋問が残っている。文科省関係者を裁判所に呼んで、無償化問題の本質、真の目的がなんだったのかということを必ず明らかにしたいと思っている。準備のためにまだ少し時間がかかるが、変わらず支援をお願いしたい」と話しました。
 また、毎日新聞やNHK、地元の新聞社などから、弁護団を交えて勉強会を開いてほしいとの要望があったことを紹介しながら、「マスコミ含め、日本の世論がこの問題にようやく目を向け始めている」とのべました。勉強会は年末か年明けに予定しているそうです。
 「裁判はこれからも続くが、みなさんもこの問題を真剣に考え、勉強して、裁判所にも引き続き足を運んでほしい」と呼びかけ、集会を終えました。

 終了後、会場の後方では支援グッズの販売も行われていました。

 次回、第15回口頭弁論の期日は12月7日(木)11:00から。これまでには傍聴席が増えるくらい、もっと世論が動いていけばいいなと感じました。私自身これからもできるだけ現地で取材をし、たくさんの声を紹介していきたいと思いました。(理)


2017年

5月25日

■ 第13回口頭弁論(日刊イオからの転載)

 九州無償化裁判第13回口頭弁論が5月25日、福岡地裁小倉支部で開かれました。
 42の傍聴券を求め、裁判所には126人が集まりました

 前回の裁判から右陪席(傍聴席から向かって左側)の裁判官が交代したことに伴い、今回の法廷では改めて原告本人の意見陳述が行われました。

 提訴時は九州朝鮮高校の生徒であり現在は県内の朝鮮学校で教員をしている原告の1人が、在学当時の経験や朝鮮学校への思いなどをのべました。
 今回、原告(朝鮮学園)は被告(国)の第8準備書面に反論する第21準備書面を提出し、弁護団を代表して清田美喜弁護士が書面の要旨を法廷で陳述しました。

 清田弁護士は、九州朝鮮高校の不指定処分や規則ハ号の削除は、就学支援金を申請したのが朝鮮学校であるがゆえの結論ありきの処分であり、いずれも後付けにすぎないとし、被告が繰り返す主張に再度反論しました。

 さらに、朝鮮高校生徒たちにとって高校無償化が適用されることは、日本の学生と同じように自分たちの学ぶ意欲も日本国がサポートしてくれるという自信と励ましになるが、逆にそれが自分たちだけに支払われないということは、生徒たちに「あなたたちは朝鮮学校に通っているから、在日朝鮮人だから、他の日本の学生と同じように就学支援金を受け取ることはできない」といったメッセージを発するものとなると強調しました。

 「アイデンティティとは、人が何ゆえに自分を自分であると思うかということであり、原告らにとってはその答えの一つが、自分は在日朝鮮人であるということです。 … その原告たちを在日朝鮮人であるがゆえに差別すること、朝鮮学校を差別することは、原告たちが『これが自分だ』と思っているまさにその部分を否定し、傷付けるものです」

 また、文部科学省の「初等中等教育局財務課高校修学支援室」が高校無償化法に関連し各朝鮮高校への調査を行っていることから、原告は無償化法制定から朝鮮高校除外に至るまでの事情について同支援室室長への尋問実施を求める求釈明申立書を提出しました。
 申立書では、▼2009年8月30日の衆議院総選挙以降から朝鮮高校が不指定処分となった2013年2月20日までの同室長名と在任期間、▼2012年12月26日の自民党政権発足直後に文科省の担当者が、朝鮮高校の指定・不指定に関して下村文部科学大臣に説明した際に用いた資料の開示、▼修学支援室長が交代する際に作成されているはずの引継ぎ文書の開示などを要求しました。

 これに対し被告は、回答書3を通して修学支援室長の名簿と在任期間については答えたが、下村文科大臣への説明で使われた資料に関してはうやむやな回答に留まった。また室長交代時の引継ぎ文書については回答がありませんでした。
 これらの資料の開示については、原告弁護団が改めて必要性などを文書で提出し、国が回答することとなりました。

 法廷終了後、裁判所の別室で原告・被告の代理人と裁判所による進行協議が行われ、今後の裁判の進行について話し合われました。
 この裁判を主な担当が、左陪席から右陪席の裁判官(今回新たに加わった裁判官)に代わったことなどもここで報告された。原告側は、裁判官に何度も要求している朝鮮高校への訪問についても、もう一度アピールしました。

 その後の裁判報告会では、弁護団事務局長の金敏寛弁護士がこの日の裁判手続きや各地裁判の状況、今後の流れについて説明しました。

 安元隆治弁護士は、修学支援室に関する求釈明申立書について補足し、「他地域に比べて裁判の進行が遅いが、民事訴訟では控訴審になると新たな事実の主張や証拠の提出が難しくなるため、今の段階でできる限りのことをやっておくことが後の真相解明においても非常に重要だ」と話しました。

 次回の第14回口頭弁論は、9月14日(木)14時から行われます。
 その間、双方の代理人と裁判所で進行協議を行い、最終段階となる証人尋問をどのように行うか、具体的に検討される予定です。

 また裁判中に傍聴抽選にもれた方の為にミニ学習会が開催され、在日朝鮮人人権協会、金東鶴事務局長が講演されました。

2017年

 3月2日

■ 第12回口頭弁論

 3月2日(木)14時から、第12回裁判が福岡地裁小倉支部203号法廷で行われました。

 傍聴希望者は100名を超えていましたが、残念ながら今回も44名しか入らない法廷での裁判となりました。

 今回の裁判には原告側から検証申出(裁判官による学校見学)に関する検証補充申立書と、裁判に提出されている文科省の決裁文書(ハ号規程削除と朝鮮学校不指定の決裁文書)に署名押印のある者の氏名の開示を求める求釈明申立書が提出され、被告からは第8準備書面及び求釈明に関する回答書、関連証拠が提出されました。

 裁判では朴憲浩弁護士が検証補充申立書を朗読しました。

 朴弁護士は、本事件について適切に判断するためには、朝鮮学校を訪れ、民族教育の現場に触れることが不可欠だと切り出しながら、全国の朝鮮学校は、日本の植民地支配により奪われた言語や文化、民族性を取り戻すべく、自力で設立され、現在に至るまで存続されてきた、特色ある学校だと話しました。

 朴弁護士は、、民族教育が生徒たちに与えるものは何なのかを生徒たちの陳述書から引用しながら、朝鮮語がしゃべれるようになった、朝鮮半島の知識が身についた、そういう表面的、記号的なところではなく、「朝鮮」差別の吹き荒れる日本において、自分が「在日朝鮮人」であること、「韓国人」、「コリアン」でもなく、「朝鮮人」であることを、自信をもってとらえられること、そして、世代の前後を問わず、同じ境遇にいる同胞、仲間とのつながりを確かめ、継承できることだと話しました。

 朝鮮学校での民族教育を、単に「日本社会の普通の教育」が、朝鮮語で行われている、バイリンガル教育が行われているなどという認識では、本質は見えてこない。同胞生徒、同胞教師、関係者が繰り広げる人格的なふれあい、その全体こそ、民族教育の本質であり、これを文章や言葉だけで表現しきることは不可能であり、動画や写真など、断片的に切り取られたものを観察しても、理解することはできない。生の民族教育が行われている場所、朝鮮学校にきて、教育当事者のあらゆるやりとり、全体としての教育活動を感じてみることが不可欠だと訴えました。

 その上で、裁判官も、生の民族教育にふれて、日本社会の差別や偏見から解放されなければならない、日本国内では、朝鮮学校、朝鮮総聯、朝鮮共和国等に対する、被告が引用するような否定的イメージが盛んに流布されている。裁判官も日本国籍を持ち、日本に住所を持つマジョリティたる「日本国民」であり、日常生活から、差別や偏見に基づく情報にさらされている。本訴訟でそれを利用した国の主張立証活動にも直面している。裁判官も日本社会の差別意識から自由ではない。だからこそ、裁判官自身が九州朝鮮高校を訪ね、「生」の教育活動に触れ、日本社会の差別偏見から解放されなければならないと話しかけました。

 そして最後に、国は民族教育の放棄を迫っている。民族教育をやめれば、無償化制度に入れてやる、補助金を出してやると言う。金がほしければ朝鮮学校が変われば良い、日本の学校に通えばよいと言う。お金が欲しいだけならば、そうすればいいだろうが、原告らはそうしなかった。本訴訟の原告になることを決断した。いま、ありのままの朝鮮学校でしか得られないものがあるからだ。裁判官は、今一度、原告ら生徒の陳述書をすべて読み直し、原告らの決断、本訴訟への思いを感じてほしいと呼び掛けながら、本当にこのような事件が許されるものなのか、この訴訟の歴史的意義を感じ、勇気ある判決が下されることを強く求めると結びました。

 朴弁護士の切々とした訴えをうけて、原告弁護団より裁判官に対して口頭で、検証申出を実現するためにも一度その必要性を確認するために学校に訪ねてくるように要請がありました。
 
 次回裁判では、被告の提出した第8準備書面に対する原告弁護団の反論書面が提出される予定です。また裁判後、証人尋問のための進行協議が行われる事も決まりました。

 次回裁判は、2017年5月25日(木)14時から行われる予定です。

■ 報告集会

 裁判後に行われた報告集会では、金敏寛弁護士がこの日の裁判に提出された準備書面と裁判の進捗状況について報告を行いました。

 金弁護士は、被告が次回裁判までに提出予定だった準備書面を今回の裁判に提出してきたので、次回はこちら側が反論書面を提出するようになったとした上で、今回被告が提出した証拠の中には、昨年12月の東京での無償化裁判で尋問した証人調書(無償化不指定決定時の文科省職員)も含まれていると説明しました。

 また、原告弁護団も全国の朝鮮学校に対する補助金見直し反対に関する声明等を証拠として提出した事が報告されました。

 報告集会では、裁判を傍聴できなかった人たちのために朴憲浩弁護士が検証補充申立書を再度朗読しました。
 しかし、感情の高まりから最後まで朗読できず、他の弁護士が代読しました。涙ながらに申立書を朗読する弁護士たちの姿を見ながら会場でもすすり泣きが聞こえました。
 弁護団より、弁護士として感情が極まって文章を読めないという事は問題だが、それほど代理人弁護士も当事者の気持ちで戦っているという事を理解してほしいとの発言に対して大きな拍手が寄せられました。

 報告集会では、安元隆治弁護士より、今回被告が提出した準備書面、証拠に対して具体的な説明がありました。

 安元弁護士は、被告は今回60頁に及ぶ準備書面を提出してきたが、それはこちらが多くの準備書面を提出したからであり、又、その内容もこれまでの主張を「つまみ食い」した反論であり目新しいものはないと断じました。
 その上で、もし、新しい主張があるとすれば、昨年3月に文科大臣名義で出された朝鮮学校に対する補助金に対しては留意してほしいとの通知は、圧力でもなく、政治外交上の問題でもなく、あくまでも留意であり、補助金の中止を求めたものではないと詭弁を言っており、国際法違反の指摘に関しては日本の法律には抵触しないとうそぶいている。文科省の朝鮮高校不指定の決裁文書に拉致担当大臣の発言が引用されている事に関しては権限のない大臣の発言であり、関係ないと主張している。
 今回の裁判の根本は子どもの教育を受ける権利を、政治外交上の問題で踏みにじった事であり、この事を次回以降の裁判で詰めていくとの説明がありました。

 また、報告集会では新たに弁護団に加わった松本知佳弁護士より、良い時期に弁護団に加われた、今回の裁判の本質を裁判所に正確に伝えるために微力ながら頑張っていくとの決意表明が行われました。

 報告集会の最後に、金弁護士が全国の裁判状況に対して説明を行った上で、今日この報告集会にも多くの朝高生たちが参加している。また、無償化の権利を勝ち取る事ができずに卒業させると思うと朝鮮高校の先輩として、一人の大人として不甲斐ない思いで後悔すると同時に、必ず勝訴判決を勝ち取らなくてはいけないとの思いを強くするとの言葉で結びました。


2017年

 2月25日

■  「高校無償化即時適用実現福岡県民集会」
 『高校無償化裁判闘争に勝利しよう!』福岡県民集会が開かれました。

 2月25日、福岡市東区の市民センター(なみきスクエア)で、『私たちの願い・朝鮮学校に笑顔を!全国行動月間―高校無償化裁判勝利・補助金カット反対』をスローガンに福岡県民集会が開かれました。

 会場は高校生も含めて定員を大幅に超える100人以上の支援者などで熱気に包まれました。民主党政権時の2010年から始まった高校無償化は、すべての子どもたちの教育を受ける権利を保障する画期的な政策でした。しかし、極めて政治的・外交的な理由で朝鮮学校だけを差別し、7年経った今でも支給されていません。特に、安倍第2次政権誕生直後の2013年2月20日、に、文科省は省令を改悪して朝鮮学校を法的に排除しました。そのため、この日を「屈辱の日」として、2014年から毎年この日を中心として全国で行われ、今年も、21都道府県(他に韓国・ソウルでも)で開催されました。

 主催者代表の服部弘昭弁護士(無償化裁判弁護団長)と、同事務局長の金敏寛弁護士は、「政府の対応は国際的にも問題だ。これは教育問題であり、当然子どもの権利の問題である。裁判官はぜひ朝鮮学校に来て子どもたちの様子を見て欲しい」と挨拶しました。

 九州朝鮮高級学校3年生代表のGさんは「あと一週間で卒業する。無償化問題は当初小学生でよく分からなかったが、先輩達の姿を見ながらだんだん理解してきて、大きな差別と攻撃に悔しさと憤りを感じた。4月から東京の朝鮮大学に進学します。朝鮮人としての誇りを持って頑張ります」と力強く訴えました。

 続いて、オモニ会代表のRさんは「日頃の支援に感謝します。昨年の九州高級学校の60周年記念集会に多くの日本人も参加された。歴史と誇りを感じた。民族教育は素晴らしい。我が子もこの春卒業です。どの学生も我が子のように可愛い。無償化裁判でいろんなことを学んだ。」と熱い思いを述べました。

 次に、上村和男・福岡県日朝友好協会事務局長が「これは日本の問題であり日本人として責任を感じる。これからも全力で応援します」と、支援団体を代表して決意を述べました。

 そして、「裁判闘争に勝利するため最後まで共にたたかおう」という集会アピール文を採択した後、辻傑福教組委員長の音頭で団結ガンバローを三唱し、今後のたたかいを誓い合い、福岡県民集会を終了しました。

 その後、会場近くの駅前で、マイクを使ってのリレートークや宣伝物を配りながら、歩行者に訴えました。


2017年

 2月25日

■  「朝鮮学校を支援する会」合同学習会

 2017年2月25日午後2時から「なみきスクエア」(福岡市東区千早)で「朝鮮学校を支援する会」合同学習会を開催しました。

 朝鮮学校を支援する県内の3団体(福岡県朝鮮学校を支援する会、福岡地区朝鮮学校を支援する会、朝鮮学校を支える会)の主催で、約100名が参加しました。

 金尚均(キム・サンギュン 龍谷大学法科大学院教授)が、「朝鮮学校をとりまく差別問題を考えよう〜子どもたちの笑顔をまもりたい〜」と題して講演を行いました。

 金教授は講演で、『在日朝鮮人は、成長過程で、「自分は何者?」という壁にぶつかる。日本人としてあるいは日本人のようにして生きていくのか、朝鮮人として民族的アイデンティティを回復しようとするのか分岐点に立つことになる。そこに、日本社会にあってもなお自己の民族的アイデンティティを保持しようとする民族教育が途絶えることなく実践されてきた理由が存在する。』とした上で、『朝鮮学校が直面している問題には、「異質なものの排除」と「日本人への同化」思想が根底に存在している。高校無償化の問題は、国家的制度保障からの排除である。京都朝鮮第一初級学校への在特会による襲撃事件は、公共地利用からの排除、教育を受けることからの排除である。「異質なものの排除」は、ヘイトスピーチという暴力にもつながっている。』と論じました。

 その一方で、『「日本にいるのだから、わざわざ民族教育をしなくても(市民感情?)」「朝鮮学校が、学校教育法第1条に定める学校になれば無償化の対象になり得る(文科大臣発言)」などの日本への同化を強要されている。』として、この問題の深刻さを指摘した上で、『民族教育は、日本の植民地支配に由来する民族的アイデンティティを回復する営みである。「排除と同化」は、朝鮮人が朝鮮人として日本社会で生きていくことを阻害するものである。』とし、ウリハッキョで学ぶ子ども達への支援を求めました。

 参加者一同、改めて民族教育の重要性を確認する学習会になりました。


2016年

 12月8日

■ 第11回口頭弁論

 12月8日(木)14時から、第11回裁判が福岡地裁小倉支部203号法廷で行われました。
 傍聴希望者は90名を超えていましたが、残念ながら今回も44名しか入らない法廷での裁判となりました。
 今回の裁判には原告側からすでに提出済みの学者意見書に基づいた3つの準備書面と、被告(国)の提出した証拠に基づいた準備書面が提出されました。

原告側が今回の裁判に提出した書面
 ◇ 準備書面(17) : 成嶋教授の意見書に基づいた書面
 ◇ 準備書面(18) : 安達教授の意見書に基づいた書面
 ◇ 準備書面(19) : 三輪教授の意見書に基づいた書面
 ◇ 準備書面(20) : 被告の提出した証拠に基づいた書面
 ◇ 証拠説明書(13)(甲A号証)
 甲A号証143〜158
※ 今回、被告(国)からの書面提出はありませんでした。

 裁判では安元隆治弁護士が第20準備書面に関して意見陳述を行いました。

 安元弁護士は、無償化制度からの朝鮮高校除外の本質は、政治外交上の理由からというのが明白であるにもかかわらず、国はそうではないと主張してきた。その事に何度も反論してきたが、今回は国が提出した証拠に基づいて、その詭弁を証明しようとするものだと、準備書面の主張意図を説明した上で、国が提出した証拠(乙71〜73)の中で、乙71にはパブリックコメントに対する文科省の考えとして、『朝鮮学校については、拉致問題の進展がないこと,朝鮮総連と密接な関係にあり教育内容,人事,財政にその影響が及んでいることを踏まえると,現時点での指定には国民の理解を得られないと考えております』と明言しており、朝鮮高校の無償化不指定が政治外交上の理由そのものに他ならないことを自認していると主張しました。

 また、乙72はハ号規程削除の、乙73は朝鮮高校不指定処分に関する文部科学省の決裁文書だが、この決裁文書の中には今回の裁判で被告(国)が主張するような内容が一つも記されておらず、乙71に明記されている政治外交上の理由だけが各閣僚の発言として紹介されている。
特に政治外交目的の象徴ともいえる拉致問題担当大臣の発言が紹介されていることからも被告が政治外交目的で不指定処分を行ったことは明白だと主張しました。

 そして結びの言葉として、本裁判における被告の詭弁の数々は呆れるばかりと論じた上で、国連をはじめとする国際社会から冷笑を浴びせられつつ,今日まで至っているのは、恥ずかしい限りであり,言語道断であると断じました。

 裁判では進行と関連して、裁判官より原告弁護団に確認があり、原告弁護団は基本的に主張が終了した事を報告しました。

 次回裁判では、被告弁護団が、前回裁判までに提出された原告第16準備書面までに対して反論書面を提出し、次々回裁判で今回提出された第20準備書面までの反論書面を提出するする事が決まりました。

 裁判の最後に、次回裁判も同じ203号法廷で行うとの裁判官の発言に対し、原告弁護団より、小倉地裁で一番大きな部屋を準備してほしい旨を要請し、裁判所で検討するとの返答がありました。

 次回裁判は2017年3月2日(木)14時から行われる予定です。

■ 報告集会

 裁判後に行われた報告集会では、金敏寛弁護士がこの日の裁判に提出された準備書面と裁判の進捗状況について報告を行いました。

 金弁護士は、次回裁判、次々回裁判までに予定通り被告が書面を提出した場合、秋頃には証人尋問などの認証作業に入ること、結審は来年の冬ぐらいではとの認識を示しました。

 また、全国の裁判状況に対して報告した上で、傍聴席が少ない法廷で裁判が行われ申し訳ないが、是非次回裁判も参加してほしい。傍聴希望者が多いことは裁判所に対するアピールになると訴えました。

 その上で、現在、裁判所に対して検証申出を行い、必ず朝鮮学校に来るように要請しているが、次回裁判で再度、書面を通して申し入れを行う事も約束しました。

 報告集会では、安元隆治弁護士より意見陳述を行った内容に関して詳しい説明がありました。
また、福岡から駆けつけた後藤富和弁護士より、今回提出された準備書面には民族教育に対しての素晴らしい内容が書かれているので是非皆さんも読んでほしいとの呼びかけがありました。

 最後に、朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会を代表して、福岡県教職員組合の辻傑委員長より、2017年2月25日に福岡市千早のなみきスクエアで、県内の朝鮮学校を支援する三団体共催で龍谷大学の金尚均教授をお招きして学習会を行った上で、全国統一行動の一環として県民集会、街頭活動を行うとの説明があり、集会参加者への参席を呼び掛けました。


2016年

 9月29日

 9月29日(木)14時から、第10回裁判が前回に引き続き、福岡地裁小倉支部203号法廷で行われました。
 傍聴者希望者は90名を超えていましたが、今回も40名弱しか入らない法廷での裁判となりました。

 今回、原告弁護団が提出した第15準備書面では、被告の第6準備書面に対し再反論しました。内容は、原告に適正な学校運営の立証を求める被告(国)の主張の矛盾点や、根拠なく朝鮮学校だけを疑う被告の主張が偏見に基づく誹謗中傷であるという点などをあらためて指摘しました。

 さらに第16準備書面では、被告はこれまで、朝鮮高校に就学支援金を支給していない理由のひとつとして「就学支援金が授業料へ充当されないおそれがある」と説明してきましたが、無償化法の仕組みを考えると「無償化法は、学校の設置者による就学支援金の横領、あるいは第三者への流用などという事態を全く想定していない」ことが明らかだとし、被告の主張は無償化法を逸脱した暴論だと指摘。さらにこの主張が「無償化法に違反する」「不指定処分をする理屈を作り出すために必要不可欠なロジック」であると批判しました。

 被告が朝鮮高校を除外するもう1つの理由としてあげている規程13条(法令に基づく学校の適正な運営)については、無償化法が支給対象として定めている「高等学校等の課程に類する課程を置くもの」を逸脱した違法な規定だと主張しました。

 弁護団は今回、学者による意見書3つを提出。次回の裁判でそれに基づく主張を行うと共に、原告が開示を求めていた文書に対する被告の回答書が提出されたため、これらを踏まえた反論も行っていく予定です。

 裁判終了後に行われた裁判官との進行協議では、今後の裁判の流れについて話し合われ、最終段階となる尋問についても言及されました。尋問の時期は、引き続き書面を通して双方の主張が続けられた後、来年5〜6月頃になる見込みです。
前回協議に引き続き、弁護団は、裁判官の学校訪問の必要性についても改めて強調しました。

 裁判報告集会では、金敏寛弁護士がこの日の裁判と進行協議の内容を報告しました。

 また報告集会前に行われたミニ学習会では、京都朝鮮第一初級学校襲撃事件のヘイトスピーチ裁判に携わった冨増四季弁護士に、「民族教育権」−裁判対応を通して見えたその真価−と題して、京都での裁判を通して見えてきた民族教育に対する考えや、差別社会とどう向き合い改善していけばいいのかなどについて講演していただきました。

 裁判終了後、弁護団・連絡協議会・学校教員他の焼肉懇親会を行い親睦を深めました。


2016年

 6月16日

 6月16日(木)11時から、第9回裁判が福岡地裁小倉支部203号法廷で行われました。
 傍聴希望者は100名を超えていましたが、残念ながら今回も44名しか入らない法廷での裁判となりました。

 今回の裁判では、裁判長が替わったこともあり、原告が久しぶりに意見陳述を行うと共に、弁護団長の服部弘昭弁護士、事務局長の金敏寛弁護士が意見陳述を行いました。

 原告の意見陳述では、高校2年の時に無償化制度から排除された時から7年間、一度も朝鮮学校の無償化適用を諦めた事が無いこと、現在、朝鮮学校で教員として勤務する夢は高校時代に育んだこと、朝鮮学校に通う子ども達の夢や希望を奪わないで欲しいことなどを切々と訴えました。

 また、服部団長は国際人権法の観点から朝鮮学校除外が違法である亊、金事務局長は、外交上の問題から朝鮮学校への差別政策を正当化することは許されないことだと主張しました。

 裁判終了後、報告集会が行われ、金事務局長より報告がありました。

 『裁判所との事前協議で原告弁護団は3つの点を要求した。@裁判部屋を大きい部屋に変更してほしい、A意見陳述を毎回行いたい、B裁判所が学校見学を行ってほしい。@、Aに関しては従前と変わらない扱いということであったが、Bの学校見学に関しては検討させてほしい、とのことだった。今回の裁判では、原告が二つの準備書面と証拠、34人分の意見陳述書を提出した。被告からは一つの準備書面が提出された。』との金事務局長の報告を受け、弁護団より提出された書面に対しての説明がありました。

 また、弁護団より裁判の現状及び以降の弁護団の方針について説明があり、法的主張は基本的に終了した事、弁護団としては、国は政治的な判断はしていないとしているが、今回入手した証拠を元に、朝鮮学校に対する不指定処分が政治目的であった事などを主張するとの説明がありました。

 報告集会では最後に、裁判への継続的な協力と、補助金問題に関しても同様の支援をお願いするする旨の呼びかけがありました。 気の中で懇親会が行われ、弁護団、連絡協議会のモチベーションを高める為に一緒に焼肉会を催そうなど大いに盛り上がりました。


2016年

 3月10日

 第8回口頭弁論が3月10日、福岡地裁小倉支部で行われ、151人が傍聴券を求めて列をなしました。

■裁判:国の悪意を是正する為の意見書を提出
 口頭弁論では、原告側から第11、12準備書面が、被告・国側から第5準備書面が提出されました。
 原告側は今回の準備書面で、@規程13条に「不当な支配」を読み込むことの不当性、 A審査会の議論を無視して行われた不指定処分の違法性、 B朝高の不指定処分が政治的・外交的考慮により行われた点−を主張しました。

 今回、原告側は立証に入る予定でしたが、国側が無償化制度に関する過去の国会の議論や審査の過程について事実をねじまげ、さらに朝鮮学校や原告を誹謗中傷する公安調査庁や産経新聞の報道を「証拠」にするなど、悪意に満ちた対応を重ねていることを受け、是正を求める意見書を提出しました。九州朝鮮高級学校出身の金敏寛弁護士が意見書を朗読しました。
 国は朝鮮学校が朝鮮や総聯によっ て、「不当な支配」(教育基本法16条1項)がなされ、「適正な運営がされていないと疑われる事情があると認められる」ので、法令に基づく適正運営を求める「規程13条に認めるに至らなかっ た」として、朝鮮高校を無償化法の対象からはずしたと主張しています。しかし、そもそも無償化制定前における衆参両院の国会審議では、規程13条は制定されていなかったし、教育基本法16条1項を読み込む議論は一切出てきません。このことから、金弁護士は、「被告は、国会審議の議論状況を捻じ曲げて主張を展開している。このことは、本件訴訟を公正な立場で判断しようとする裁判所に対する侮辱だ」と断じた。また、国が過去の準備書面で朝鮮学校について、「法令に基づく適正な学校運営がなされていない学校は、過剰に就学支援金を代理受給することも考えられる」と根拠を示さず疑いをかけている点を問題視。「朝鮮高校のみならず、同校に通う原告やその保護者を侮辱するもので、到底許されない。また、被告の主張は何らの根拠に基づかない邪推そのものであるばかりか、裁判所に対して原告や朝鮮高校について悪印象を与える目的でなされた悪意に満ちた誹謗中傷だ」と断じました。
 また、「被告の誹謗中傷が激しさを増すのは、単に訴訟における主張の域を超えて、公開された法廷を利用して原告を傷つける意図さえ疑ってならない」とし、「裁判所においても、適正な指揮をお願いする」と意見しました。

■ミニ学習会
 裁判と同時刻、隣接する弁護士会館では約100人の参加のもと、ミニ学習会が行われました。
 講演に立った瑞木実・「朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会」事務局長は、無償化法の趣旨、裁判に至るまでの経過、裁判の流れと争点についてやさしく解説し、聴衆からは、裁判では難解な専門用語が飛び交って分からない部分が多いが、今日の学習会でよく理解する事が出来た、是非、配付された資料を利用して一人でも多くの人たちに無償化裁判の本質を伝えていきたいとの力強い言葉も聞かれました。

■報告集会
 裁判終了後の報告集会では、弁護団の九州朝鮮高校の無償化審査に関し文科省が収集、作成した文書などの開示請求に対して、全国の裁判で初めて、国から開示の意思が示されたことが報告されました。

■連絡協議会・弁護団の意見交換会、懇親会
 報告集会終了後、弁護団と連絡協議会の意見交換会が行われ、現在の裁判状況に関して話し合いました。特に、連絡協議会と弁護団の協力体制を強化していく問題、連絡協議会が行っている裁判時のミニ学習会の内容を充実させる問題等に関して真摯な意見交換が行われました。協議後、和やかな雰囲気の中で懇親会が行われ、弁護団、連絡協議会のモチベーションを高める為に一緒に焼肉会を催そうなど大いに盛り上がりました。


2016年

 2月20日

 「高校無償化」法、改悪から3年目。2月20日、北九州市のパークサイドビル会議場で「朝鮮学校高校無償化全国一斉行動」に連帯する福岡県民集会を開催しました。九州朝鮮中高級学校高級部の生徒をはじめ保護者、支援者など150名が参加しました。
 集会は、福岡県教職員組合書記長の本村隆幸さんの司会・開会あいさつで始まり、主催者を代表して服部弘昭弁護士(弁護団長)が本集会の意義を訴え、金敏寛弁護士(弁護団事務局長)が裁判の争点と進み具合を報告しました。
 続いて、生徒代表(朴梨銀:九州朝鮮中高級学校高3)が決意表明を行い、その後、保護者代表(金明愛:オモニ会代表)、支援団体代表(北原守:福岡県日朝友好協会会長、太田真由美:福岡地区朝鮮学校を支援する会事務局長)から力強い応援メッセージがありました。
 瑞木実無償化実現福岡連絡協議会事務局長から全国集会の報告があり、集会アピール採択後、梶原正実福岡県教職員組合委員長の団結ガンバローで集会を閉じました。
 集会後、JR小倉駅前で朝鮮学校高校無償化裁判に理解を求める街頭活動を行いました。


2015年

 11月14日

 弁護団と無償化連絡協議会、そして学校の先生たちとの焼肉交流会が行われました。
 交流会は和気あいあいの雰囲気の中で進められながらも、どうすればこの裁判に勝つことができるか、弁護団としてどう戦うか、連絡協議会としてどう支援活動緒を行っていくか真摯に話し合われました。
 裁判勝訴のため、これからもお互いに力を合わせていくことを確かめあう有意義な機会となりました。


2015年

 11月12日

 第7回裁判が行われました。傍聴抽選には80名野方が参加され、40名の方が傍聴されました。
 傍聴出来なかった方々は弁護士会館にてミニ学習会を行いました。

 裁判では、原告の朴憲浩弁護士より準備書面10について弁論説明があり、国の不当性を訴え、法の番人である裁判所がその最後の砦として正しく判断を下すよう訴えました。
 また、提出書面に関して裁判官より質問があり、質疑応答が行われました。
 提出された検証申出を通して、学校を見た上で判決を書いて欲しいという趣旨も原告側弁護団より説明がありました。

 裁判後の報告集会では、弁護団の金敏寛事務局長より双方の主張は基本的に出尽くしたので以降は立証段階に入る旨説明がありました。
 また提出検証申出書について朴憲浩弁護士が、被告準備書面4の不当性について清田美喜弁護士よりそれぞれ説明がありました。

 次回裁判は年明けの2016年3月10日(木曜日)14時30分から行われる予定です。


2015年

 7月16日

 第6回口頭弁論が、福岡地裁小倉支部で開かれました。傍聴抽選に142名が参加し、傍聴席44名分はいっぱいになりました。

■原告意見陳述
 裁判ではまず、原告のひとりの生徒が意見陳述を行いました。生徒は小学生の時に無償化のことを聞いたが、朝鮮学校も対象になるということで母親がすごく喜んでいたことを覚えている。しかし、除外されてしまったと話を始めた。除外されたことにより経済的な負担が強まり、子供3人を朝鮮学校に送るため、母親は朝早くから夜11時まで働かなければならないこと、自分もアルバイトをせざるをえず、幼い弟と妹が留守番をしなければならず、さびしい思いをしていること、大学進学を希望しているが働く両親を楽にさせなければならないのではないかと考えて悩んでいることなどを吐露しました。最後に、弟が高1になる時には必ず適用になって欲しい、政治的なことではなく、朝鮮学校で私たちがどのように学んでいるのかを見て判断して欲しいと訴えました。

■ 準備書面説明
 引き続き弁護団の安元隆治弁護士が第5,6,7準備書面の要旨を説明しました。
 安元弁護士は、国が排除の理由の一つとして「規程13条に適合すると認めるに至らなかったこと」を掲げていることに関して、「規程13条に適合すると認めるに至らなかったことという判断が無償化法により与えられた文科大臣の裁量を逸脱しており、朝鮮高校の生徒の学習権に関し不当な差別をもたらしていると論じました。その理由として、文科大臣の裁量と言っても、あくまで無償化法により与えられた権限であり、当然、無償化法の趣旨に則って行使される必要があり、完全なフリーハンドでの判断が許されるものではないとしながら、次の3点を挙げて、裁量を逸脱していて不指定処分は国賠法上違法であるとしました。
 一つ目は、裁量権行使のあり方が無償化法の趣旨に反し許されないこと。二つ目は、事実誤認に基づく判断は許されないこと。三つ目は、政治・外交的配慮を持ち込むことは許されないこと。
そして、「不当な支配」などの国の持ち出した論理や、朝鮮学校だけに「支援金が確実に充当されるか」と不当な「懸念」をかけていることなどを指摘しました。

■ 報告集会
 裁判終了後には約100名の参加のもと報告集会が行われました。
弁護団から今回提出した準備書面の説明があり、質疑応答が行われました。

 次回(第7回口頭弁論)は、11月12日(木)午前11時より、福岡地裁小倉支部で行われる予定です。


2015年

 3月19日

 第5回裁判が行われました。
 100数十名の方が傍聴希望に訪れ、84名の方が傍聴されました。
 今回は我々の要求が聞き入れられ、裁判所で一番広い207号法廷で裁判が行われました。

 裁判では、お互いの提出書面の確認を行った後、原告側(朝鮮学校)弁護団より提出書面の要約を約30分にわたって説明しました。(後述)

 裁判後、行われた報告集会には約90名の方が参加されました。
 まず金敏寛弁護団事務局長より裁判に対する説明が行われました。

 概略は
- 今回提出した、原告(朝鮮学校)第4準備書面では、無償化問題の根底には何があるのか。植民地時代からの歴史を振り返りながら、歴史的に続く在日朝鮮人に対する差別、民族教育に対する差別を説明。その理解がなしに無償化問題を裁判所が判断できない。
- 証拠書類として京都襲撃事件(ヘイトスピーチ)高裁判決文、日本の学者の民族教育に対する論文を提出した。
- 次回期日おいては原告側から被告第2,3準備書面に対する反論書面を提出する。被告は書面を提出しないとした。

 また、被告第3準備書面に対して新規に弁護団に加わった朴憲浩弁護士より説明がありました。
- 被告第3準備書面には前回、原告が提出した書面に対する反論が記されていた。
- 前回、原告が提出した書面には無償化制度からの排除の不当性、違法性を指摘したが、それらに対する経緯と評価に対して反論
- 政治的な理由で審査会での審査を停止,中止したが、それは朝鮮学校の為だったとの説明。→ あきれる内容。
- 審査再開後の審査は、従来、検討対象としていなかった教育内容や総聯との関係のみ。
- 次回以降、論理の矛盾をたたみかける書面を提出していきたい。
- 国の現在の主張を簡単に言うと、お金が欲しいなら朝鮮学校を廃止して日本の「高等学校」の認可を受ければよいではないか、朝鮮学校なんかに通わず,日本学校に通えば良いではないか、というもの。

 続いて行われた質疑応答では、
- 裁判において被告側弁護団は何故一言も発しないのか。
→ 元来、日本の裁判では書面提出のみで発言はほとんどしない。ましてや支援者で埋め尽くされた傍聴席を見たら中々発言できないのでは。
- 外交上の問題で判断をせず、高等学校に類似した学校なのか客観的に判断すると言っていた事が守られていない。
→ そもそも、朝鮮学校だけが他の外国人学校と違う「特別な調査」を受けている事自体、「法の下での平等」原則が守られていない。
- 京都襲撃事件(ヘイトスピーチ)裁判の判決は画期的だが個人に対する判決、同じ判決を国が国に行えるのか。
→ 国が裁くようにしなくてはならない。
等の意見が発せられました。

 報告集会ではその他に、映画60万回のトライ上映実行委員会より発言(7/12,北九州で上映)があり、『次回裁判の直前に上映会を行う。上映実行委員会委員長は服部弘昭弁護団長、無償化裁判の世論喚起の為にも上映会を成功させたい。昨年一度上映会は行われたが、2,3度見るほど良い映画だ。是非日朝の力を合わせて裁判を戦っていこう。』との心強い発言もありました。

 次回裁判は、7月16日(木)11時からの予定です。


2015年

 2月20日

 『高校無償化即時適用実現全国統一行動に連帯する福岡県民集会』が盛会裏に開催されました。
 2年前の2013年2月20日に、安倍政権・文科省が朝鮮学校のみを無償化から除外する省令を「改正」した暴挙に対し、「屈辱の日」として抗議する集会が、全国実行委員会の提起を受け2月20日を中心に全国12か所で開催されました。

 東京で開かれた文科省前での抗議行動には、全国から700人以上が参加し(福岡からは瑞木実:無償化連絡会事務局長が参加)気勢を上げました。

 福岡では、全国統一行動に連帯して、標記の県民集会が2月20日午後6時から北九州国際会議場で約200人が参加して盛大に開催されました。

 集会は、I女性会議の山元真智子さんの司会・開会あいさつで始まり、主催者を代表して、服部弘昭弁護士(朝鮮学校を支える会会長)が「高校無償化適用除外は、憲法や条約が保障したすべての子どもたちの学ぶ権利の侵害であり、日本社会の問題です」などと述べました。続いて、訴訟弁護団代表(金敏寛弁護団事務局長)と生徒代表(趙銀河さん:九州中高級学校3年生)が決意や思いを述べました。その後、保護者代表(李等嬉:オモニ会代表)と支援団体代表(上村和男:福岡県日朝友好協会事務局長)から力強いメッセージがあり、全国集会実行委員会からのメッセージの紹介とともに、大きな拍手が送られました。そして、「高校無償化適用実現と裁判闘争勝利のために最後までたたかおう」とした集会アピールを採択し、梶原正実福教組委員長の音頭で団結ガンバローをして集会を閉じました。

 その後、参加者は小倉駅に移動して、駅頭で街宣を行い、1000個のティッシュやチラシを配布しました。30分ほどで配り終わり、市民の関心を喚起しました。


2014年

 12月18日

 第4回裁判が行われました。
 傍聴抽選には約160名の方が参加され、今回も抽選で傍聴者を決めました。
 今回は傍聴席が少ない(40人)法廷に変更され、多くの方が傍聴できませんでした。
 10月はじめに裁判所との進行協議を申し入れたにもかかわらず、裁判直前に協議が行われました。
 
 裁判では原告側準備書面要旨を説明し、原告側意見陳述(2名)を弁護団が要約して説明しました。
 意見陳述要約の説明中、裁判長よりそのまま朗読しないでくれと、理不尽な注文があり、傍聴席から、意見陳述を読んではいけないのか、聞きたいとの意見も出ましたが聞き入れられませんでした。
 
 裁判後行われた報告集会には約130名の方々が参加され、弁護団から原告側提出準備書面について、また裁判所との事前協議の内容について説明がありました。
 
 報告集会では、意見陳述作成のため、原告らと面談を行った弁護士から何故要約で説明したのか、また、その過程で原告らの思いをどのように感じたのかも説明があり、子どもらの思いに答えるためにも頑張っていくとの決意表明もありました。
 
 次回裁判は、2015年3月19日(木曜日)14時から行われる予定です。


2014年

 9月25日

 第3回裁判が行われました。(詳細はミレ通信4号で)
 傍聴抽選には約120名の方が参加され、今回も抽選で傍聴者を決めました。

 予定されていた原告側意見陳述(2名)が一方的に取りやめになり、原告側弁護団が抗議を行いましたが聞き入れられず、準備書面の説明及び次回期日協議のみで閉廷されました。

 裁判後行われた報告集会には約100名の方々が参加され、弁護団から原告側提出準備書面について説明を受けた後、何故意見陳述が中止になったのかについて説明がありました。

 概略は以下の様な内容です。
「期日2日前に裁判所より意見陳述を採用するかまだ決まっていないと連絡はあったが、明確に出来ないとの返事はなく安心していた。裁判時に急に本日は行わないとの事で弁護団としても困惑した。
 時間が無くて意見陳述を採用しなかったのではない。だから本来ならば提出のみで終了する準備書面を説明してくれと言い出したのだと推測できる。意見陳述を行う時間は十分あった。
 これは、無償化の制度において朝高生を差別しただけではなく、司法の場においても朝高生を差別した事であり、原告の心を傷つける許す事の出来ない暴挙だ。
 弁護団としても裁判官の忌避を含めて抗議の方法を検討するが、ポジティブに考えれば裁判所と裁判以外に無償化問題の本質を協議する場を得たと考えたい。」

 報告集会では、裁判で採用されなかった意見陳述書を代読し、朝鮮大学校在学生が国連人権規約委員会で行った要請活動に対して報告しました。

 また、福岡ふれあい納涼祭実行委員会副委員長、安玉喜さんより納涼祭の収益金の一部が無償化裁判支援金として朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会共同代表、中村元気さんに手渡されました。

 次回裁判は、2014年12月18日11時から行われる予定です。


2014年

 6月5日

 第2回裁判が行われました。(詳細はミレ通信3号で)
 当日は、120名を超える方々が集まり、88名が裁判を傍聴されました。
裁判では被告(国)反論書面が提出され、次回裁判で原告側が反論書面を提出する予定です。
また、原告2名が意見陳述を行いました。
 裁判後の報告集会では今回の裁判についての説明の後、被告(国)反論書面について弁護団から説明がありました。
 連絡協議会の方から無償化裁判を支援する福岡及び全国の活動も紹介されました。

 裁判後、学校にて弁護団、連絡協議会、保護者代表、学校関係者らが集まって懇親会が行われました。
 美味しい焼肉に舌鼓を打ちつつも、朝鮮学校の歴史から始まって何故この裁判に至ったのか真剣に意見交換が行われました。
 懇親会の終盤では、福岡朝鮮歌舞団の歌に合わせてオッケチュムを踊り、皆で統一列車を走らせて士気を高めました。
 参加された皆さん、お疲れ様でした。


2014年

 5月1日

 昨年10月から今年3月にかけて、九州朝鮮中高級学校生徒が行った街頭署名や無償化実現福岡連絡協議会を通じて広範な日本の方々のご協力をいただき4万人を超える署名を集めることが出来ました。
 この場をお借りしてお礼を申し上げます。
 カムサハムニダ。


2014年

 3月20日

 第1回裁判が行われました。(詳細はミレ通信2号で)
 傍聴希望者は142名で81名が傍聴されました。
 傍聴できなかった方を対象にミニ学習会を開催し、60名が参加されました。
 裁判では、弁護団長と原告2名が意見陳述をされました。
 ミニ学習会では、裁判資料と省令改悪 (無償化法律)の内容や不指定通知内容、原告の主張(法の理念違反、行政手続法違反、国際人権諸条件違反、憲法違反)について学習しました。
 裁判後行われた報告集会では弁護団から裁判に対して報告があり、原告の意見陳述を代読した後、生徒代表、支援団体が連帯の挨拶を行いました。
 雑誌「イオ」のブログに詳細が載っていますのでそちらもご覧下さい。


2014年

 3月2日

 九州朝鮮中高級学校・高級部卒業式に朝鮮学校無償化実現・福岡連絡協議会から2名の代表の方が参加され、祝辞を述べていただきました。
 日本社会でのヘイトスピーチの問題等、朝鮮学校の子ども達を取りまく環境は厳しいものがありますが同時に力強い声援、応援を受けて健やかな気持ちで旅立つ高校生たちの前途に幸多きことを祈念します。


2014年

 2月15日

 2014年、初めての街頭署名を博多、小倉、折尾駅で行いました。1400名の方々が署名に協力して下さいました。
 真冬の寒さの中、高校生たちの声掛けにたくさんの方々が足を止めて署名にご協力して下さる姿に感慨深い関係者たちでした。


2013年

 12月19日

 大阪、愛知、広島に続き、九州で無償化問題で提訴を行いました。
 九州朝鮮中高級学校の在校生、卒業生ら67人が19日、国に損害賠償を求める訴訟を福岡地裁小倉支部に提訴。訴状提出に先立って、弁護団、生徒、保護者をはじめとする同胞、日本の支援者ら約200人のデモ隊が小雨の中、地裁周辺を行進し、差別是正を訴えました。
 雑誌「イオ」のブログに詳細が載っていますのでそちらもご覧下さい。